中日本高速道路(NEXCO中日本)グループの中日本ハイウェイ・メンテナンス東名が試行導入した新型路面清掃車は、車両前面に搭載された吸引装置により、高速道路の路肩やガードレール脇に落ちているペットボトルなどのゴミを車両から降りなくても回収できるスグレモノ。
車両前面に吸引装置を搭載した姿は、まるで走る掃除機のよう!? 果たしてその実力とは?
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
【画像ギャラリー】車両に乗ったままゴミ回収! 新型路面清掃車をギャラリーでチェック(9枚)画像ギャラリー作業員の負担軽減と安全性向上に寄与する清掃作業のオートメーション化
NEXCO中日本によると、現在、高速道路では路肩やガードレール脇に落ちているペットボトルなどのゴミの回収は、定期的に巡回している清掃車両に乗った作業員により行なわれており、その回収量は年間約600tにのぼるという。
清掃車両による作業は、ゴミを発見次第、作業員が清掃車両から降りて回収するものだが、車両への乗り降りや安全確認など作業員の負担は少なくない。また、一般車が清掃車両に衝突し、車両遠方で作業している作業員や、運転手が負傷する事故も発生しており問題となっていた。
そこで、作業員の負担軽減と安全確保のため開発されたのが新型路面清掃車だ。高速道路の路肩を走行し、落ちているゴミを発見したら、徐行しながら車両前面の吸引装置でゴミを回収。これにより作業員が高速道路上に降りる回数を減らすことができ、清掃作業の省力化や作業員の安全性向上をもたらす。
なお、すでに海外では類似する清掃車両が市街地で活用されているが、(吸引装置で回収できず)作業員の回収が必要な大きなゴミの積載場所がないことや、高速走行ができないなどの課題があり、今回新たに開発することになったという。
車両から降りる回数が約7割削減可能!? 新型路面清掃車のスゴい実力!
NEXCO中日本が導入した新型路面清掃車は、ドイツHAKO社製多目的作業車「マルチカーM31」がベース。
神奈川県相模原市の飛鳥特装が輸入・販売する同車両は、日本の小型トラック程度のサイズの車体3箇所に動力取出口を搭載。300種類以上のアタッチメントを組み合わせ、草刈り、除雪、道路清掃などさまざまな業務に対応するもの。
今回のベース車両は、その中でも最もヘヴィデューティな総輪油圧駆動モデル(マルチカーM31H)だ。ちなみに中日本ハイウェイ・メンテナンス東名ではウニモグも検討したというが、車幅が広く路肩からはみ出る可能性があったため見送られたという。
主な装備は車両前面に搭載された吸引装置で、ゴミの回収は車内からの操作で吸引装置を左右にスライドさせて行なう。吸引されたゴミはホースを通ってダンプ式のホッパーに集積される仕組みだ。
なお、吸引装置で回収できない大きなゴミはこれまで通り作業員が回収。キャブバック(ボディ前部)には、大きなゴミを積載するための回収スペースも備わる。また、車両後部には安全対策用の衝突緩和装置、LED表示板などの安全装備も搭載される。
導入場所は、圏央道の海老名IC〜相模原IC間で、まずは本格導入に向けた検証を行ない、2023年度意向に本格導入を行なう予定。NEXCO中日本では同車両の導入により、作業員が路上に降りる回数が約7割程度削減できるとしている。
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