2000年代に入って早くも21年が経過した。のちに「内燃機関最後の黄金時代」と呼ばれる可能性も高い21年間だ。
本企画では、そんな2000年以降に登場した新型車をメーカー別にランキング。それはそのまま日本車の近代史にもなる。今回は『トヨタ・レクサス編』だ!
※本稿は2021年8月のものです
文/西川 淳 写真/TOYOTA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2021年9月26日号
■トヨタ編:もう一度チャレンジしてほしいあのクルマがNo.1
●2代目エスティマ(2000年1月デビュー)からランクル300(2021年8月デビュー)まで:全89車種
機能のはっきりしたモデルに上出来なケースが多かったことが2000年以降のトヨタ車の特徴。
ランドクルーザーやハイエースといった歴史的な機能モデルは当然のことながら、プロボックス&サクシードのような営業車のスーパーカーも生み出した。VIP用の3代目センチュリーや燃費重視のプリウスもまた機能モデルに数えていい。
逆に言うとまったくの新規モデルではさほどアピールできていなかった。
いいクルマを我慢強く信念を持って世界に広げていくという姿勢そのものは素晴らしいと思うが、新規モデルでももっと世間をあっと言わせてほしいもの。
そんななか、筆者がNo.1に選んだのがiQだ。
口の悪い人はスマートの物真似だとか言ったけれど、(内燃機関を積んだ)マイクロカーの形は似通って当然。
それよりも全長3mで3ドアの2&4シーターで1〜1.3Lカーであるというパッケージが世の中を驚かせるに充分独創的だった。
2016年に生産が終わったものの、そのユニークさは今なお色あせず、中古車市場でも人気。
もう一度、軽自動車との枠組みを取っ払って挑戦してほしいカテゴリーでもある。
そのほか印象に残っているモデルが12代目ゼロクラウン。
クラウンを欲しくなることなど一生ないと思っていたら、ゼロクラは欲しくなって見積もりまで取った。結局、資金がほかに回って買えなかったけれど、唯一欲しくなったという衝撃は忘れられない。
以降のクラウンにはまるで興味がない。ゼロクラのデザインはよかった。今見てもコンサバとスポーツのバランスがよくて古く見えない。
名前以外はまったく新しいFRのGTスポーツカー、86の登場もニュースだった。
スープラもいいけれど、やはりトヨタのスポーツカーはこうであってほしいという意味で86のほうが印象に残る。
トヨタらしさとは実用性と性能、そしてアフォーダブルさの融合だ。
スポーツカーの息を切らせなかったという点でも評価すべき。これがあって完成度の高い2代目へと繋がった。
そして2代目ミライ。世界が全否定してもなお、燃料電池を進化させて市販を続行し、あまつさえトヨタサルーン随一の乗り味も実現した。
企業としての高いポテンシャルを大いに感じた一台だった。
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