ニッポンのレースを変えよ!! スーパーフォーミュラ大変革の方向性と今後

■希望が持てるプロジェクト内容ではあるが……

第6戦もてぎで2021年のシリーズチャンピオンを獲得した野尻智紀。次の50年は彼らをはじめとした若い選手たちにかかっている
第6戦もてぎで2021年のシリーズチャンピオンを獲得した野尻智紀。次の50年は彼らをはじめとした若い選手たちにかかっている

 というわけで、国内トップフォーミュラレースの明るい未来を予感させるプロジェクトの内容にいやが上にも期待は高まってくるが、ちょっと待てよ。

 この壮大な計画を実現させるための人材や原資の確保、メーカー間の調整はどうなっているのだろう?

 土日2レース開催やスマホ用の新しいプラットフォームの立ち上げ、バイオフューエルの導入などは比較的低い予算でも実現可能な項目だと思うが、それ以外の技術開発および実証実験となると、まとまった予算やメーカー同士の全面合意なくしてあり得ないのではなかろうか。

 エンターテイメントへの参入も、その道の専門業者に丸投げすれば実現は容易だが、既存そして新たなファンを惹きつける充実したコンテンツを目指すなら、それ相応の費用がかかってこよう。

 そしてドライバーを含めた人材の育成。手間暇がかかることこの上ない『人育て』だが、トヨタとホンダがそれぞれに進める育成プログラムとどう違うのかなどを確認するべく、発表会の質疑応答タイムで何度も手を上げたのだが、筆者の挙手は最後まで司会進行役の目に止まることなく時間切れとなった。

 野尻智紀が今季王座を決定した第6戦で、複数のマシンが絡んだかのように見えるアクシデントがあった。そのシーンをテレビカメラがとらえていなかったことで状況の詳細が確認できず、事故現場の手前をスロー走行していた大湯都史樹(23)に事故の原因を問う声もあがった。

 しかしそれはコントロールタワーからの指示による減速だったことが後に判明。競技長名で「特定の選手に原因があったものではない」と発表もされた。

 しかし、そもそも『減速して隊列の後ろに下がれ』と指示するより先に、青旗の提示もしくは振動で遅いマシンの存在を他に伝えられただろうし、なんとなれば全チームにむけて「減速中の大湯を安全に抜くように」と無線を飛ばすこともできたのではなかろうか。

 レースはドライバーやチームだけで成立させられるものではない。世界に誇るスーパーフォーミュラになるためには、レースに関わる一人ひとりが『世界水準』とは何なのかを意識していることが大前提だ。このシリーズがNEXT 50を経て正しい方向性で発展していくことを願っている。

【画像ギャラリー】スーパーフォーミュラに新プロジェクト始動!! そして第6戦もてぎで野尻智紀が2021年シーズン王者に!!(6枚)画像ギャラリー

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