皆さんの愛車の中は今どうなっているだろうか。クルマの室内は非常にプライベートなスペースである。車中泊という言葉がある様に、寝泊りはもちろん、飲食や語らいの場として使用される場所なのだ。車内は厳密にいえば「家の外」なわけだが、「家の中」に近い感覚になれる場所でもある。
そんな外の目を気にしない車内は、汚れやすく散らかりやすい。自動車ディーラーで仕事をしていると、ゾッとする車内の状況を見ることも多かった。点検や査定の際に、元自動車ディーラー営業マンの筆者も困った、車内事情を紹介していこう。
文/佐々木 亘、写真/Adobe Stock(トビラ写真=structuresxx@Adobe Stock)
■フロントシート下に潜んでいた悪臭の原因
筆者の勤めていた販売店では、点検入庫の際に、必ず洗車と車内清掃を行っていた。車内清掃ではフロアマットを取り外し、掃除機をかけていくのだ。
車内に掃除機をかけていると、様々な物が出てくる。砂や石、スナック菓子のカスや包装紙などで、中には掃除機の吸い込み口が詰まるほど、大量にゴミが散乱していることもあった。
ある日、エアコンから腐敗臭がするという担当ユーザーからの相談があった。クルマに乗ってみると、確かに悪臭がする。消臭剤を付けても消えないということで、簡易的なエアコン清掃を提案し施工したが、それでもあまり改善は見られなかった。
担当ユーザーに状況を伝え、いつものように引渡し前の車内清掃を行う。私が掃除機のノズルを、フロントシートの下に伸ばすと、吸い込み口が詰まるほどの大きなモノを吸い込んだ。
そのままシート下から引きずり出すと、目の前にはハンバーガーの包み紙が出てきたではないか。それも中身がしっかり入っているのだ。
悪臭の原因はこれだった。腐敗したというか、もう半分乾き始めて、化石のようになったハンバーガーを発見したのが、車内のゴミ掃除で一番キツかった思い出だ。
■砂やホコリよりも嫌な汚れ
シートがホコリまみれ、フロアマットが砂で真っ白なんていうのは、日常的な汚れ方だし、掃除機で清掃すれば、何事もなく解決する。シートやマット関係の汚れで、一番困るのはペットの毛である。
シートやマットに絡みついた毛は、掃除機では取り除けない。シートに座れば衣服に簡単に付着してくる。シートカバーをかけてクルマを移動するが、それでもスーツに毛が付着し、後始末が大変なのである。ドアを開けてペットの毛が付いているシートをみたら、その日一日ブルーな気分で過ごすことになるだろう。
また、一緒に働いていたエンジニアの中には、犬猫のアレルギーを持っている人がいて、毛だらけの車内に入った後、くしゃみと鼻水が止まらなくなっていた。その様子を見ているのも気の毒でならない。
ペットをクルマに乗せる方には、入庫前にコロコロをかけていただくか、ペット乗車の際にペット用のシートカバーを用意するなど対策をして欲しいのだ。
筆者も2羽の鳥を飼っており、クルマで一緒に移動することがあるが、必ずカバーをかけるようにしている。ペットの乗車後はカバーを外して、外で払うだけで、車内へ毛や羽が残ることは少なくなる。衣服の汚れやアレルギーに対しても、影響は少ないはずだ。
ペットの毛や羽は、クルマの汚れの中でも、嫌なランクの上位に入る。ペットとクルマで移動する方は、ご留意いただきたい。
コメント
コメントの使い方