ステップワゴンはなぜ苦戦? トヨタからみた強みとノア・ヴォクシーが勝てた訳

■現場で実感したノア・ヴォクシーとのラインナップ差

トヨタ ヴォクシー。ノア/ヴォクシーなどのトヨタ勢は先駆者であるステップワゴンを大きく上回る売れ行きを見せている
トヨタ ヴォクシー。ノア/ヴォクシーなどのトヨタ勢は先駆者であるステップワゴンを大きく上回る売れ行きを見せている

 2021年度(4月~9月)の、販売台数はヴォクシーが3万1065台、ノアが2万578台(ノア・ヴォクシー合算5万1643台)、セレナが2万7531台、ステップワゴンは1万6877台である。トヨタ勢にトリプルスコア以上の差を付けられているのが現状だ。

 ここまでノア・ヴォクシーが台頭し、ステップワゴンが沈んでしまった背景には、ミドルトールミニバン特有の売れ方が関係していると筆者は考える。

 ノア・ヴォクシーを販売していると感じるのが、ノア「Si」やヴォクシー「ZS」のような、3ナンバーのエアログレードでは、ガソリンエンジンモデルの注文が意外と多く、「X」・「G」などの5ナンバーモデルは圧倒的にハイブリッドモデルが多く売れるという傾向だ。

 この現象はステップワゴンでも起こるはずなのだが、ラインナップがそれを許さない。

 ステップワゴンのハイブリット車はスパーダにしか設定されておらず、販売が伸びづらい傾向にある。このハイブリットラインナップの差がノア・ヴォクシーとステップワゴンの販売規模の差を大きくした。

 販売の起爆剤となるべきハイブリッドモデルが、ユーザーニーズとは離れた部分に設定される。販売現場ではステップワゴンが売りにくくなり、営業マンは売りやすいフリードへ、顧客を誘導するだろう。ホンダ内でもステップワゴン離れが加速し、結果として5代目ステップワゴンは売れなくなった。

 ノア・ヴォクシーが売り上げを伸ばし、逆転したというよりも、ステップワゴンが失速し落ちてきたという印象が筆者のなかでは強く残る。次期型では、ラインナップを改変して巻き返しを期待したい。

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 ミニバン市場は成熟し、真の実力が試される場所になっている。単純な目新しさやインパクトでごまかせるほど、ユーザーの目は甘くないだろう。ステップワゴンもノア・ヴォクシーも、新型では真っ当な「進化」を期待されている。

 2022年はトールミニバンにとって勝負の年になる。ノア・ヴォクシー、セレナ、そしてステップワゴンがどんな戦いを見せてくれるのか、今から楽しみだ。

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