最近、新型車登場の際に、発表から発売まで、かなり待たされることが多い。
ワンショットのティザー画像が登場したあと、数か月後に正式発表会があり先行予約が開始、そこからさらに数か月後ようやく発売開始……といった具合で、「いよいよ発売開始!!」といわれても、「あれ、まだ売ってなかったの!?」と思ってしまうことがしばしばある。
発表と同時に発売となるクルマもなかにはあるが、このように待たされるパターンが昨今特に増えてきているように思う。自動車メーカーはなぜこのような手法をとるようになったのか。
文/吉川賢一、写真/NISSAN
■市販型登場から1年4か月経ってもユーザーに届いていない「アリア」
たとえば、日産「ノート」の場合。2020年11月24日に新型が発表となり、同12月23日に発売開始と、このときは同時ではなかったものの、それほどタイムラグがあったわけではなかった。
しかし、ノートオーラは2021年6月15日に発表され、その約2か月後となる8月17日に発売となっている。オーラ発売の際に発表となった「ノートオーラNISMO」は、「今秋発売予定」とされているが、現時点(11月16日)、まだ発売の発表はない。
また、新型BRZ/GR86も2021年4月5日に公開されたあと、BRZが7月29日に正式発表、同時に予約販売を開始、GR86は10月28日に発表即発売となっている。
少し話がそれるが、GR86の発売が遅れたのは、開発のデッドラインを越えたあとに、トヨタ側で足回りの再チューニングを施したことによるもの、とされているが、このハプニングも宣伝に使っているので、あえてやったのではと筆者は勘ぐっている。
日産アリアに至っては、2019年10月の東京モーターショーで「ARIYAコンセプト」が初披露された後、2020年7月に、コンセプトカーとほぼ変わらない市販型アリアのデザインを発表。2021年4月にティザー動画を公開し、その2カ月後の6月に限定モデル「Limited」を発表、同時に予約が開始となっている。
デリバリーは66kWhバッテリー搭載車(B6)の2WDが今冬より開始(上級モデルの91kWh車や4WD仕様のデリバリーは未定)されるそうだが、市販型を目にした日から、すでに1年4か月が経過しているのに、まだユーザーの手に届いていないという状況だ。
昨今の新車開発は、昔と比べて時間がかかるようになったのは事実だ。複雑なハイブリッドシステムや、電子制御関連のデバイスが増え、かつてはなかった緊急回避のためのブレーキ制御作り込みなども、何十回と行わないとならない。だが、それならば発表を遅らせればよいこと。
これほど発売までの期間がかかってしまうのは何故だろうか。それには、3つの理由が考えられる。
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