■重複しつつも価格帯が上下にうまく分かれている
レクサスNX350が搭載する2.4LターボのT24A-FTS型は、ハリアーやRAV4には搭載されていない新開発のパワーユニットだ。最高出力は279ps(6000rpm)、最大トルクは43.8kgm(1700~3600rpm)だから、実用回転域では4Lのノーマルエンジンに匹敵する動力性能を発揮する。
以上のようにNXはレクサスの主力車種だから、プラグインハイブリッドや新開発のターボを含めて、4種類のパワーユニットを用意した。価格帯も幅広く、最も安価な2.5Lノーマルエンジンを搭載するNX250の2WDは455万円だ。逆に最も高価なプラグインハイブリッドのNX450h+Fスポーツは738万円に達する。
トヨタブランドのハリアーは前述のとおり、直列4気筒2Lのノーマルタイプと、2.5Lのハイブリッドを搭載する。価格が最も安いノーマルエンジンのS 2WDは299万円、最も高価なハイブリッドの4WD Zレザーパッケージは504万円だ。従って455万~504万円の価格帯には、レクサスNXとハリアーが重複して設定されている。
■2.5Lハイブリッドで比べてみると?
そこでレクサスNXとハリアーを比べてみたい。両車のパワーユニットで共通するのは、販売比率が最も高い直列4気筒2.5Lのハイブリッドだ。レクサスNX350h 2WDの価格は520万円になる。これに相当するハリアーは、ハイブリッドZ 2WDで452万円だ。
装備については、両車で設定の優劣が異なる。自車のハイビーム状態を維持しながら、対向車などの眩惑を抑えるアダプティブハイビームは、ハリアーハイブリッドZには標準装着される。ところがレクサスNX350hでは、三眼フルLEDヘッドランプと合わせて18万400円のオプション設定になってしまう。
助手席の電動調節機能は、レクサスNX350hには標準装着されるが、ハリアーハイブリッドZでは、本革シートのレザーパッケージを選ばないと装着されない。アルミホイールのサイズは、ハリアーハイブリッドZは19インチだが、レクサスNX350hは18インチになる。
以上の点を考慮すると、機能や装備と価格のバランスは同程度だ。それでも価格は前述のとおり、レクサスNX350hが68万円高い。
■NXはハリアーより価格分「上質」なのか
注意したいのは、レクサスでは、車種を問わず購入後のサービスが充実していることだ。登録されてから3年間は、オイルやオイルフィルターなどを定期的に交換するメンテナンスプログラム、ヘルプネットなどを含んだGリンクが無料で付帯される。これらのサービス料金を合計すると、約15万円になる。
つまり、68万円の価格差が53万円に縮まり、この金額がレクサスNX350hとハリアーハイブリッドZの実質的な差額と考えていい。レクサスNX350hでは、ハリアーハイブリッドZに比べると内外装の質感や乗り心地を向上させるが、その対価が53万円になるわけだ。
この金額の受け取り方はユーザーの視点によって異なるが、従来のレクサスとトヨタブランド車の比較では、前述の対価が30万~40万円とされていた。そこを考えると、53万円高いレクサスNX350hは割高な部類に入る。
また、インパネ周辺の装飾などは、レクサスNX350hが上質だが、中央部分に装着されたカーナビ情報などを表示するディスプレイのサイズは、ハリアーハイブリッドZは12.3インチだがレクサスNX350hは9.8インチに留まる。
これは装備の違いだが、インパネの見栄えにも影響を与えている。同等のグレード同士を比べて、必ずしもレクサスNX350hが上質とはかぎらない。
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