■カーナビ
結論から言うとカーナビ自体はなくならない。ただし、これまでの「商品」としてではなく「機能」としての存在にシフトしていくはずだ。
昨今の純正ナビはインテリアのデザインに合わせた専用設計が当たり前になっているが、今後は単なる案内機能だけでなく、情報を統合してドライバーへの安全や環境性能を高める機能、さらに言えば自動運転領域での活用も考えると従来とは比較にならないほど性能向上が求められる。
ただ、世の中にはそれまで販売されてきた多くの車両が存在するわけで、それらには後付けで先進機能を装着することは難しい。
つまり、従来までの2DINに代表される取付スペースを持つクルマに関しては市販やディーラーオプションのAV一体型ナビ、そして徐々に勢力を拡大しているディスプレイオーディオがまだまだ市場を牽引しているはずだ。
そして重要なのは2030年には実現しているであろう通信革命だ。5Gは当たり前、100Gbpsという驚異的な通信速度を持つ「6G(仮称)通信」がクルマにおけるIoTを激変させるだろう。
速度のほか、マルチタスクを可能にする多重接続や5G以上に通信電波が届く特性が実用化されればAIを活用しすべてのクルマを集中管理してナビ誘導してくれる世界も充分考えられる。
(TEXT/高山正寛)
■カーシェアリング
カーシェアリングは都市部を中心に発展してきたが、今後は郊外にもその勢力を伸ばす。今回の新型コロナウイルスまん延によって、在宅勤務が増加し、郊外への移住が進む。そうした人の動きによって郊外でのカーシェアリングが伸びていく。
従来はコインパーキングなどを利用したカーシェアリングステーションが主流だったが、今後新しく開発される住宅地ではインフラのひとつとしてカーシェアリングステーションが設けられるだろう。
新たに作られるカーシェアリングステーションはEV専用、もしくはEVをメインとしたものとなり、普通充電器と急速充電器を装備。
通常駐車時は普通充電器付きの駐車枠に止める。利用者はスマホアプリで充電状況を確認しつつ利用するクルマを選ぶ。充電量が少ないクルマは、敷地内にある急速充電器を使っての充電も可能だ。
普通充電器はカーシェアリング専用となるが、急速充電器は一般客も使用できるようになっているだろう。
(TEXT/諸星陽一)
■物流
トラック輸送はドライバーの高年齢化やなり手不足、環境問題などさまざまなマイナス要素を持ちながらも、依然として物流の主流である。日本の国土の広さ、道路交通網の整備などを考慮するとトラックが最も効率がいい。
加えて産業構造がトラックに頼っている部分がある。多くの製造業が採用する、必要なものを必要な時間に必要な量だけ納入する「ジャストインタイム」方式は、トラックを倉庫として使っているようなもので、これを改めない限り日本の物流改革はない。
2030年になってもせいぜい(たまに)トラックの隊列走行が見られる程度だろう。ただしフルトレーラーといって、トラック(正確にはフルトラクター)の後ろに荷台だけのトレーラーをけん引するタイプのクルマは増える。
このように1台(1編成)で大量の荷物を運ぶ輸送は、それを仕分けるためのヤードが必要になる。クルマが大きくなればなるほど、高速道路やバイパスの近くにそうしたヤードが必要になるなど、問題は山積みだ。
(TEXT/諸星陽一)