2030年の自動車業界を予測!! タイヤ 物流 燃料…クルマにまつわる8つの未来

■物流

2030年には後続車無人隊列走行は実現しているだろう
2030年には後続車無人隊列走行は実現しているだろう

 トラック輸送はドライバーの高年齢化やなり手不足、環境問題などさまざまなマイナス要素を持ちながらも、依然として物流の主流である。日本の国土の広さ、道路交通網の整備などを考慮するとトラックが最も効率がいい。

 加えて産業構造がトラックに頼っている部分がある。多くの製造業が採用する、必要なものを必要な時間に必要な量だけ納入する「ジャストインタイム」方式は、トラックを倉庫として使っているようなもので、これを改めない限り日本の物流改革はない。

 2030年になってもせいぜい(たまに)トラックの隊列走行が見られる程度だろう。ただしフルトレーラーといって、トラック(正確にはフルトラクター)の後ろに荷台だけのトレーラーをけん引するタイプのクルマは増える。

 このように1台(1編成)で大量の荷物を運ぶ輸送は、それを仕分けるためのヤードが必要になる。クルマが大きくなればなるほど、高速道路やバイパスの近くにそうしたヤードが必要になるなど、問題は山積みだ。

(TEXT/諸星陽一)

■タイヤ

開発が進むエアレスタイヤ。ノーメンテナンス化が重要となる
開発が進むエアレスタイヤ。ノーメンテナンス化が重要となる

 2030年に実現していそうな技術としてまず挙げたいのがエアレスタイヤです。自動運転やカーシェアリングが進むとタイヤのノーメンテナンス化が重要になります。その点空気を充填しないエアレスタイヤは有望です。ミシュランでは早くも’24年に一般市場に投入するとアナウンスしています。

 それから、ギリギリ間に合うかもしれないユニークな技術としてグッドイヤーの『ReCharge』という自己再生タイヤがあります。

 ホイールにタイヤの素となるカートリッジを装着することで、走りながらタイヤを再生するというもの。雨に強い、冬に強いなど、カートリッジでユーザーが自由に欲しい性能を選べるのがウリです。これは自動運転にも有効な技術です。

 またタイヤに装着したセンサーによってタイヤと路面の状態を検知したり、さらにそのデータをクラウド上に吸い上げビッグデータを構築して行う情報サービスも可能です。リアルタイムで、より詳細な渋滞情報や路面状況がわかるようになります。

(TEXT/斎藤 聡)

■公共交通機関

公共交通は最も進んでいる可能性がある。効率が大幅に向上
公共交通は最も進んでいる可能性がある。効率が大幅に向上

 2030年に実現可能な近未来技術のなかで、公共交通の分野は日本人的な几帳面さが有効に働き、大きく進化することが期待できる。

 最近では耳にすることが増えた「MaaS:Mobility as a Service」とは、複数の交通手段を組み合わせることで、より便利な移動を実現する交通サービスを意味する。我々の生活を便利にする自律自動運転車が活躍することになり、山間部の町や村では珍しくもなくなっている可能性さえある。

 すでに、簡便ながら実証実験の段階を終えている地域もあり、駅前や公共施設などを起点として利用できるように仕立てられれば、政府の予算補助は必要でも市町村レベルで実現でき、「大げさ感」が薄いことに好感が持てるし、実現性の高さが感じられる。

 EVなど環境に優しいモビリティを利用しつつ、人々の生活に密着して利便性を高めることに集中して、国などがケチケチ言わずカネを出してもらえれば、2030年ならずとも、あと数年で実現可能といえる取り組みを実行してほしい。

(TEXT/岩尾信哉)

■まとめ:人に優しい新技術を期待したい

建設が始まったトヨタの未来都市、ウーブンシティ。詳細は発表されていないが、2030年にはリアルな暮らしが始まっていることは確実。これが未来への地図となるはずだ
建設が始まったトヨタの未来都市、ウーブンシティ。詳細は発表されていないが、2030年にはリアルな暮らしが始まっていることは確実。これが未来への地図となるはずだ

 人間は変化を好まないものだ。新しいものには批判的な意見が出るものだし、技術の進化についていけない人たちも必ず存在してしまう。

 キーになるのは「誰も置いていかない」という姿勢。新しい技術は人の暮らしを便利に、安全にするために使われなければならず、その目的を忘れてはならない。根底に「優しさ」さえあれば変革は成功する。新時代のクルマ界もぜひ、そうあってほしい。

【画像ギャラリー】2030年。日本のクルマ社会は大きく変わる? それとも…? 未来予測をクイックチェック!(8枚)画像ギャラリー

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