スペックには表れない価値を大事にした、2代目RX-7
初代RX-7がスポーツカーとして世界的に高く評価されたことをうけ、2代目は、さらに純粋なスポーツカーとして進化することを目標に、開発が進めることに。初代誕生からわずか1年半後には「スポーツカー研究会」なるものが立ち上げられ、自動車の歴史を振り返りつつ、未来へ通じる新しい価値観を創造する作業が始まった。
このなかで、マツダは、「昔のスポーツカーは、実際のスピードが遅くても、操るときに興奮できるところがあった。だから、スポーツカーの魅力を実感できたのではないか」という考えにたどりつく。単にカタログスペック上の数値を追求していくのではなく、人間の感覚に寄り添ったクルマつくりをすれば、スポーツカーは楽しくなる、という考え方だ。
1985年に登場した2代目サバンナRX-7では、この考え方を反映。0-100km/h加速○○秒、最高時速○○○km/hといった数字ももちろん大切だが、デザイン、音、手応え、軽快感といった、人間の感覚に寄り添ったクルマに仕上げた。
エクステリアは、初代のスポーティなデザインを継承しつつ、ブリスターフェンダーを持つ張りのあるスタイリングで重厚感が増し、エンジンは12A型から13B型へ進化。空冷インタークーラー付ツインスクロールターボを搭載し、馬力はネット表示で185psとなった。前後重量配分は50.5:49.5で、フロントミッドシップの思想がしっかりと継承され、ピュアなハンドリングに磨きがかかっている。
現在でも生かされている
スポーツカー受難の時期に開発され、世界でそのスポーツ性能が高く評価された初代と、そのピュアなスポーツ性能をさらに昇華させた2代目。マツダの高い技術があったからこそ、困難のなかで「スポーツカーの価値」を新たに創造し、それを定着させることができた。
ご存知のとおり、FRスポーツカーの市場は急激に縮小し、マツダのロータリースポーツカーの歴史は2013年のRX-8販売終了で幕を閉じてしまう。しかし、その魂は、現在も、マツダのクルマづくりに息づいている。
現在マツダが、すべての車両開発においてテーマとしている「人馬一体」。マツダは、「人間の意図したとおりにクルマが動くことで得られる一体感や安心感は、「クルマに乗る」ということだけにとどまらず、その先の充実感にもつながる」としている。
スペックには表れないこうしたところを追求するところは、2代目サバンナRX-7の開発の際にたどり着いた、「人間の感覚に寄り添ったクルマつくりをすれば、スポーツカーは楽しくなる」という考え方に繋がるものだ。
マツダは、スカイアクティブの技術開発を始めたころから、開発の考え方を変えたと説明しているが、他社とは違う考え方に取り組むという点では、すでに2代目サバンナRX-7開発の頃に経験していたのである。この積み重ねがあってこそ、いまのマツダのクルマづくりがあるのではないだろうか。
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魅力的なSUVモデルをラインアップさせているマツダだが、やはり、おじさん世代のクルマ好きがマツダに期待するのは、ロータリーエンジンモデルの復活だ。マツダは2022年に、北米市場において、発電専用のロータリーエンジンを搭載したMX-30を導入するとしている。
できれば、駆動用ロータリーのピュアなスポーツモデルが復活することを期待したいところだが、まずは発電専用のロータリーエンジンを搭載した、MX-30の登場を楽しみにしている。
【画像ギャラリー】一度は乗っておきたいロータリーピュアスポーツ マツダ「RX-7」と「RX-8」(34枚)画像ギャラリー
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