早く新車に乗りたい! 最新ミニバンやSUVの納期遅延は解消されるのか!?

■レンタカーへ優先的に新車が配車されることも

KINTOのようなサブスクリプションサービスなどに優先的に配車されることもあるようだ
KINTOのようなサブスクリプションサービスなどに優先的に配車されることもあるようだ

 だが、前出セールスマンに2021年12月の様子を聞くと、「もちろん、年末ギリギリまで目標達成を追いかけます。お客様からいただく注文と並行して“見込み発注(売れ筋車種の売れ筋仕様を販売現場でストックするため、前もってメーカーに発注すること)”している車両があります。

 こちらは生産が保留になったりはせず生産計画に組み込まれますので、年内納車が間に合いそうな見込み発注車両の販売促進をメインに活動を進めていきます」とのこと。

 事情通は「先日あるメーカー系レンタカー会社を利用したのですが、その時2021年11月末登録で、オドメーターが数十kmの新車が引き当たりました。

 『遅延している一般個人客への納車を優先しないのか』とも思いましたが、受け付けスタッフに聞くと、レンタカーのようなフリートセールスに関しては、年間で生産及び配車計画が立てられているようです。

 そして『おそらくその新車も当初予定より遅れて配車されたのでしょう』と説明してくれました。一般個人向けの生産枠のほかに、展示や試乗車の枠があることは聞いたことがありますが、レンタカーやカーシェアリングなど、フリートセールス向け生産枠もあるのかもしれません」と話してくれた。

 それでは今後も完成車生産は平常レベルを維持し改善していくものかといえば、販売現場の反応は懐疑的である。事情通も「工場稼働が平常時レベルに戻ると言っても、部品の供給体制が元に戻ったという話は聞きません。

 大がかりな道具を駆使して駐車車両から希少金属目当てで触媒を狙いマフラーごと盗難に遭うケースが増えているといった報道を見てもそれは明らかです。

 しかも原材料やそれに伴う部品不足は昨今のサプライチェーンの混乱だけではなく、ソーラーパネルなど、気候変動対策に有効な機器への使用が増えて、不足や価格高騰しているケースもあるようです」と話す。

 販売現場では、「事業年度末、つまり決算への影響を考慮して2022年3月末までは工場の平常稼働もしくはそれ以上を維持するが、新年度に入ったとたん再び生産遅延が目立つのではないか」と不安視する声もよく聞く。

■依然として不透明な要素も多い

2022年早々にデビュー予定となっている新型ノア&ヴォクシー。その頃には納期遅延も解消されているといいのだが……(写真は現行型)
2022年早々にデビュー予定となっている新型ノア&ヴォクシー。その頃には納期遅延も解消されているといいのだが……(写真は現行型)

 本稿執筆段階ではまだまだ未知な部分も多い、新型コロナウイルスの新たな変異株である“オミクロン株”の感染拡大とその影響(とくに新興国)次第では、さらに状況は不透明感を増しそうである。

 工場稼働が平常に戻れば納期遅延が解消されるのかといえば、それは早計な話。完成車メーカーからすれば「ラインオフすればそれで良し」ともいえるのだが、その完成車が各地のディーラー店舗に届かなければ納期遅延は改善されない。

 生産体制が回復すると、今度は全国各地へ届けるための物流体制がボトルネックとなる可能性があるのだ。

 仮に工場稼働率を平常時の100%以上、つまり増産体制をとったとしても、キャリートラックなどの輸送体制がそれに伴わなければならないが、例えば陸送するキャリートラックの台数が日常的にダブついているとは思えない。

 単純に考えれば、輸送が間に合わずに工場周辺に完成車が溢れてしまい、結果的に深刻な納期遅延解消に時間を要してしまうことも起こりかねないのである。そのため販売現場では「数カ月単位では、まず現状が著しく改善されることはないだろう」という声を多く聞く。

 現状では、あるモデル全体が深刻な納期遅延となっているケースはまず存在しない。HEV全体などパワートレーンの違いや、選択するオプション、そして装備内容の関係で、あるグレードのみなど、ピンポイントで長期の納期遅延が発生している。

 メーカーやディーラーの一部では、ウエブサイト上で“工場出荷時期のメド(納期はこれに1カ月ほど加えるのが目安)”や、取り扱い各車の納車予定などの公表を行っている。ただし、これはあくまで目安であり、前述したように不安定要素もあるので、確かな納期をお客に示せないのが悩ましいようである。

 できるだけ納車まで待たないようにするには、デビューしたばかりの新型車ではない人気車については見込み発注車両(グレードやボディカラー、オプションが決まってしまう)からの選択を心掛けるしかないだろう。

 新型車については、とにかくディーラーに初めて出荷される“初期ロット”車両を狙うしかないのだが、初期ロット車両のラインナップはディーラーには選択権がないので、何がくるのかわからない。ここでも初期ロットに入りそうな、売れ筋グレードでの売れ筋ボディカラーを狙うしかないだろう。

 しかし、同年式車として納車される新車自体が少なめとなっているので、将来手放す時には、同年式同型車の中古車としての流通台数も少なめとなるので、リセールバリューに期待できる部分は大きい。

 また前述したように現状では下取りや買い取り査定額がかなり好条件で推移しているので、いつもより納車を待たされることを含め、損得勘定次第では現状でも、実は“買い時”とも考えることができるのである。

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