グイッと引いてズザーッとドリフト!! レバー式サイドブレーキは消えゆく運命なのか

グイッと引いてズザーッとドリフト!! レバー式サイドブレーキは消えゆく運命なのか

 日本車においては、2006年に登場したレクサス「LS」で初めて採用された、電動パーキングブレーキ。昨今ではコンパクトカーや軽自動車にいたるまで、電動パーキングブレーキを採用するモデルが多く、もはや「当たり前」の装備になりつつある。

 もちろん、トヨタ「ヤリス」など、手引き式や足踏み式のサイドブレーキを採用している現行モデルもあるが、「カチカチ」っとブレーキを引く(もしくは踏む)感覚は、普段電動パーキングブレーキ車を乗っている者としては懐かしさを覚えるものであり、ここまで電動が主流になってくると、もはや手引き式/足踏み式は絶滅寸前にも思える。

 手引き式/足踏み式は消えゆく運命なのだろうか。

文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_umaruchan4678
写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、DAIHATSU、SUBARU、MAZDA、エムスリープロダクション

【画像ギャラリー】現行型で手引き式・足踏み式サイドブレーキを採用してるレアなクルマたち(35枚)画像ギャラリー

コスト以外は、メリットばかりのE-PKB

 電動パーキングブレーキ(以下E-PKB)の普及が進んでいる背景には、メリットが多いことがある。作動操作がスイッチなので手や足の力が少なくてすむこと、スイッチ程度のスペースがあればよいので省スペースで済むこと、また、ACC(アダプティブクルーズコントロール)との組み合わせで渋滞最後尾での自動停止や追従走行再開も可能となる。

 さらに、ホールド機能付きであれば信号待ちでの足への負担が減り、また、パーキングブレーキの解除し忘れによるブレーキのトラブルも防げる(筆者もサイドブレーキを引きずったまま走り始め、焦げ臭いにおいがして気がついた経験がある)。

 デメリットとしては、部品点数が多いため、手引き式や足踏み式に比べてコストが高くなることだ。特に、5円、10円といった原価を削る苦労をしているコンパクトカーには厳しい高額アイテムだが、それも昨今は量産によってコストダウンが見込めるようになってきたため、大きなデメリットとはいえなくなってきた。

メリットが多いE-PKB。コストがかかることが懸念だったが、量産によるコストダウンで、それも大きなデメリットではなくなってきた

寒冷地では注意が必要

 E-PKBは多くの場合、エンジンをストップさせると、自動でパーキングブレーキが作動する。通常であれば自動で作動するのは便利でしかないが、寒冷地では注意が必要だ。

 ブレーキパッド付近に付着した水分が凍ることで動かなくなってしまう可能性があるため、冬の時期、寒さが厳しい寒冷地では、サイドブレーキは解除しておく必要があるが、自動で作動してしまうE-PKBの場合、寒冷地に慣れた方でも、解除しておくことを忘れてしまう可能性がある。冬の時期、寒冷地では、シフトをPに入れた後に、E-PKBを解除しておこう。

 ちなみに、AT車であれば、パーキングブレーキを解除していてもPレンジにしておけば、クルマが動いてしまう危険はない。ただ、できるだけ平らな場所に止め、やむを得ず傾斜のある場所に止める場合には輪留めを使うか、クルマがずれ落ちた時にフロントタイヤが縁石にぶつかるよう、ハンドルを切っておくことは必要だ。

 また、少し話がそれるが、E-PKBスイッチの作動方向(押すと「リリース」か、引くと「リリース」か)は、4~5年ほど前までは、メーカー間で統一された操作方式がなく、押して解除のクルマもあれば、引いて解除のクルマもある、というバラバラ状態だった。

 ただ、ここ2~3年は、「スイッチを押すとロック、上に引くとリリース」という手引き式サイドブレーキと同じ方向になっている。法規などでの決まりことは無いが、メーカー間でお互いが空気をよんで流れができた、ということなのだろう。

 ちなみに空気をよまない事例として、AT車のマニュアルシフトが、「押してシフトアップか、引いてシフトアップか」論議はまだ決着はついていない。

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