コンパクト戦国時代に大躍進!! 売れまくり新型アクア 強さの理由

アクアと同門ヤリスのどちらを買うべきか?

サイドウインドウの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたアクアのデザイン
サイドウインドウの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたアクアのデザイン

 そこでこの2車種を比較する。まず視界と取りまわし性ではアクアが負ける。全幅は同じ数値だが、全長はアクアが110mm長い。最小回転半径も、ヤリスハイブリッドは5.1mに収まるが、アクアで売れ筋になるGとZは5.2mだ。

 しかも、アクアはサイドウインドウの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたので、斜め後方の視界が悪い。ヤリスも良好とはいえないが、アクアはさらに見にくい。後方視界の悪さはアクアの大きな欠点だから、購入時には縦列駐車などを行って、後方視界と取りまわし性を確認したい。

ヤリスに比べて上質になっているアクアの内装。ディスプレイも10.5インチと、ヤリス系の8インチよりひと回り大きくなっている
ヤリスに比べて上質になっているアクアの内装。ディスプレイも10.5インチと、ヤリス系の8インチよりひと回り大きくなっている

 内装の質はアクアが上まわる。ヤリスハイブリッドにも不満はないが、アクアのGとZのインパネには、合成皮革巻きの処理も施され、最上級のZでは装飾類がさらに上質になる。

 居住性では後席の広さが異なる。身長170cmの大人4名が乗車したとき、ヤリスハイブリッドの後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ少々だが、アクアは2つ弱を確保した。ヤリスハイブリッドは、基本的に2名以内の乗車に適するが、アクアなら上質な内装と相まってファミリーカーとしても使いやすい。

 動力性能は、各種の数値は共通だが、アクアの売れ筋グレードはバイポーラ型ニッケル水素電池を使う。そのため、運転感覚に違いがあり、巡航中にアクセルペダルを踏み増したときの駆動力は、アクアがヤリスハイブリッドよりも少し力強い。

 そのかわり2WDのWLTCモード燃費は、アクアZは33.6km/Lで、ヤリスハイブリッドZは35.4km/Lだ。ヤリスハイブリッドはアクアよりも燃費性能が少し優れている。

 走行安定性と乗り心地は、アクアが上まわる。ヤリスハイブリッドは、路上の細かなデコボコを伝えやすい。ノイズもアクアが小さく抑えた。そのかわり操舵に対する反応はヤリスが機敏で、峠道などを走るときにはアクアよりも車両の向きを変えやすい。

 2WDの価格は、アクアZが240万円、ヤリスハイブリッドZは232万4000円だ。ヤリスハイブリッドZは7万6000円安いが、装備内容が異なる。

 ヤリスハイブリッドZでは、100V・1500Wの電源コンセントを4万4000円、アルミホイールを8万2500円のオプション設定としたが(オプションの合計価格は12万6500円)、アクアZにはこれらの装備が標準装着される。したがってオプションを含めた合計額は、アクアZが約5万円安い。

 以上のようにアクアは、ヤリスハイブリッドに比べて、居住性、内装の質、走行安定性、乗り心地、静粛性などが優れ、なおかつ価格は割安だ。アクアにも、斜め後方の視界が悪い、後席のサイドウインドーが狭いために後席乗員が側方を見にくいといった欠点があるが、総じて魅力的だ。

 したがって、立体駐車場を利用可能なコンパクトカーをトヨタ車から選ぶ場合、ハイブリッドはアクア、ノーマルエンジンならヤリスという選択になる。ヤリスの2021年10月の登録台数は、前年の57%と低迷した。11月も前年の60%だ。新型アクアの登場で、ヤリスの売れ行きが下がるのは仕方ないだろう。「トヨタの敵はトヨタ」であるからだ。

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