生誕50年の節目に復活したフィアット500
FIAT500の歴史が再び動き出したのは2代目500の発売から50周年を迎えた2007年のこと。FIAT500の復活が発表されると、イタリアはお祭りムードに。それだけイタリア国民の生活に根付き、愛された一台なのだ。
現代によみがえった500は、基本構造をプントと共有するFF車だが、第2世代のNuova500をモチーフとしたレトロなデザインがチャームポイント。そのため、デザイン重視ともいえ、後席と荷室はやや小さめだ。それでも実用的で運転し易く、比較的買いやすい価格という部分は、FIAT500の伝統を受け継いだといえるだろう。
この小さなイタリア車は、世界的に大ヒットを記録するが、それは日本も同様。愛らしいものが好きな日本人の感性をわしづかみとし、FIATのエントリーモデルながら、日本のFIAT販売を支える屋台骨に成長を遂げている。
現在も販売は継続され、エンジンは、1.2Lの4気筒エンジンと0.9Lの2気筒ターボ「ツインエア」を搭載し、クローズドディの500に加え、キャンバストップの500Cを設定。さらに高性能モデルとして、アバルト595/595Cが用意されている。
なぜフィアット500がルパン三世の愛車となったのか
さて話をルパン三世に移そう。アニメ版ルパン三世に登場したFIAT500で最も有名なのは、1979年公開の劇場版「ルパン三世 カリオストロの城」に登場するイエローのもので、冒頭のカーチェイスは名シーンとして称えられる。このため、現行型FIAT500には、日本専用の限定車として、そのイメージを持つイエローのモデルが投入されたこともあるほど。
ただルパン三世の愛車として使われるようになったのは、それ以前の1971年のファーストシーズンの第16話から。しかし、当初の愛車は、往年のスポーツカー、メルセデス・ベンツSSKであった。この真逆ともいえる愛車の変更の裏には、ルパン三世のキャラクター設定の変更があったという。
当初のルパン三世は、「暇を持て余した金持ちの義賊」という設定であったが、TVファーストシリーズ途中から、演出に加わった宮崎駿氏が「泥棒するくらいだから、貧乏。でも明るいイタリア風のオジサン」に変更したことに起因するとされている。
この物語にリアルなクルマたちを登場させた立役者といえるのが、TVファーストシーズンから作画監督として活躍した大塚康生氏。ルパン三世のリアルな銃器やクルマの描写は、クルマや銃器に詳しい彼の存在あってこそだった。なんと大塚氏は、元麻薬Gメンという異色の経歴を持つアニメーターであり、捜査員自体に、本物の銃器に触れた経験も持つ。
さらに当時、大塚氏は、FIAT500を愛車としており、そのすべてを知っていた。だからこそ、あの小さなボディを活かした驚きの走りや次元大介がキャンバストップから身を乗り出して射撃を行うシーンなどの描写を取り入れることもできたといえる。
もちろん、大塚氏は、「カリオストロの城」の制作にも参加している。このように神出鬼没でユーモアに溢れるルパン三世のキャラクターにマッチしたFIAT500は、TVアニメ放送初期の段階から、ルパン三世を支える相棒といて活躍し続けてきたのである。
余談となるが、TVシリーズセカンドシーズンでアイキャッチに登場するクラシックスポーツカーは、SSKではなく、アルファロメオ6C1750である。ルパン三世は、同じイタリア車であるアルファロメオも愛用していたのだ。
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