2021年でアニメ化50周年を迎えた大人気アニメ「ルパン三世」。TV版最新作「ルパン三世パート6」が絶賛放送中だ。(編集部注:日本テレビ系列毎週土曜日24時55分放送。各地域ごとで放送時間が異なる。各動画サイトにてストリーミング配信あり)
ルパン三世を支える頼もしき仲間たちといえば、次元大介、石川五右衛門、峰不二子の3人なのは、皆さんもご存じのとおりだ。
しかし、彼ら同様に忘れてはならない重要な存在がある。それがルパン三世の相棒こと、愛車として登場する「FIAT500」の存在だ。今回は、FIAT500の歴史に加え、ルパン三世とFIAT500の関係にせまる。
文/大音安弘、写真/ステランティス
【画像ギャラリー】内外装をリフレッシュ!! フィアット 500の新グレード「カルト」「ドルチェヴィータ」を見る!!(11枚)画像ギャラリー庶民の足として愛された名車 フィアット500
FIAT 500は、イタリアのFIATが大衆車として1936年に送り出した二人乗りのコンパクトカーが原点だ。その小さく愛らしいデザインと機敏な走りから「トポリーノ(ハツカネズミの意味)」の愛称で親しまれた。
イタリア庶民の足として愛された同車は、オードリー・ヘップバーン主演の映画「ローマの休日」にも登場している。そのトポリーノを全面刷新させた2代目は、1957年デビューのNuova(ヌオヴァ)500と名付けられた。これこそがルパン三世の愛車の500であり、現代の500のモチーフともなった。ちなみに、Nuovaの意味は、「新しい」である。
ただ同じ小型車とはいえ、FRの二人乗りだったトポリーノとは異なり、より実用的な4人乗りとするべく、駆動方式をRRに変更されたのも2世代目の大きな特徴だ。そんな新しい500は、簡単にいえば1955年に登場したFIAT600の縮小版といえるものであった。
FIAT600は、全長3285mmのボディを持つ、600㏄の4人乗りの小型車で、英国のクラシックMINIと同様に、小型車の傑作と称される名車だ。どちらも設計者は、初代FIAT500の開発に携わったダンテ・ジアコーサによるもの。ジアコーサは、後に現代の主流である横置きエンジン、横置きミッションによる前輪駆動車を実用化した近代FFの父でもある。
ただ当時は、FF化に必要な等速ジョイントの実用化に至っていなかったために、FIAT500とFIAT600ではコンパクトなボディと4人乗りのスペースの両立させるため、RRを採用している。
FIAT500のボディサイズは、全長2970mm×全幅1320mm×全高1298mm(※FIAT500D)と超コンパクト。車重も約500kgと超軽量であったため、最初に搭載された500ccの空冷2気筒エンジンは、たった13psに過ぎなかった。アイコンのひとつである開放感あふれるキャンバストップは標準化であったが、これは車内のエンジン音のこもることを防ぐアイデアでもあった。ただ後に実用性を優先し、クローズドボディも追加されている。
名車と称される実用車FIAT600があり、セールス的な成功を収めていながらも、FIATが、より小さいFIAT500を開発させた理由には、当時ニーズが拡大していたスクーターをライバルとしたことにあった。低価格車でありながら、大人4人が移動できることなど4輪車の強みを活かしFIAT500は、爆発的なヒットを記録。瞬く間にイタリアの街を埋め尽くす国民車となる。
基本的な設計を変更することはなかったが、非力だったエンジンの性能向上や上級グレード500Lが登場するなどの進化を続け、イタリアの国民車として長く愛されたが、やがて東ドイツ、スペイン、アルゼンチンなど海外でも生産されるようになり、多くの国で庶民の足として愛されることに。
その結果、1977年の生産終了までの累計生産台数は400万台越えを記録している。小型軽量安価ということから、当時は、チューニングカーのベースとしても使われ、そのメーカーのひとつに、アバルトがあった。多くのパーツを開発販売するだけでなく、アバルト595や695などのコンプリートカーも製造し、エントリースポーツとしてモータースポーツでも活躍した。
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