現代のチンクことフィアット500が最初に日本にお目見えしたのは2008年3月。早いもので、それからもう12年が経つ。
途中、2016年1月に1度マイナーモデルチェンジがあったものの、デビュー時の姿カタチはほぼ変えない〝ロングセラー商品〟。
いったいその人気の理由はどこにあるのか改めて考察せよ……というのが今回の編集部から預かったお題。
そこでここでは、オーナーでもある筆者(1.2とツインエアの2台を乗り継いだ)が、自身の体験を踏まえ、責任をもって(!)チンクの魅力をお伝えしていきたい。
文/島崎七生人、写真/FCA
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理由・その1:タイムレス&クラスレスなデザイン
もともと1957年の〝Nuova500〟をモチーフに作られたのがこのチンク。
2段重ねになったアンダーボディ(キャビンを入れると3段重ね)やクラムシェル型ボンネット、ヘッドランプやエンブレム左右のヒゲとそれを囲む山型のプレスラインなど、ディテール、要素は、いずれもNuova500からの引用だ。
台形フォルムも新旧のつながりを感じさせる。
インテリアも1眼式のメーターナセル、昔の鉄板剥き出しのインパネの趣を再現したボディ色を取り込んだインパネ、横一列に並ぶスイッチ、シートバックの上部を明るいオフホワイト仕立てにした2トーンのシートなどは、いずれもデザイン上のセルフカヴァー。
ヘリテージ、リスペクトであり、現代のチンクのデザインの根底に流れている〝志〟は、やはり自身(この場合はフィアット)の過去の財産に、いかに敬意を表しているかということ。
BMWが作った最初のR50ミニもそうだったように、新旧のクルマを並べればボディサイズも生まれた年代もまったく違う。けれど新旧どちらもチンク(ミニ)であり、その個性は、昔を知っていれば懐かしく、そうでなければ新鮮。上級車種に負けない存在感もある。
古くならない、誰からも愛されるデザインなのである。それと〝500C〟は電動ソフトトップ付きで、このモデルもチャーミングで、優雅な気分を味わわせてくれる小さなスペシャルティカーだ。
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