ディーラーでハイコンプってマジか!! チューニング大歓迎ディーラーがアツい

ディーラーでハイコンプってマジか!! チューニング大歓迎ディーラーがアツい

 愛車のさまざまな部分を自分好みに変更する「カスタマイズ」。その昔は改造車と呼ばれ、ヤンチャなイメージもありましたが、今では法規面の理解が進み、クルマの魅力を向上させる新たな手法として一般的に。トヨタは86のデビューをきっかけにAREA86(現GR Garage)を設立し、カスタマイズをお品書きに加えるなど、非常に力を入れています。

 ディーラーならではの安心と信頼を担保しつつ、カスタマイズのリクエストに応える苦労は並大抵ではないはず。トヨタ販売店の中でもカスタマイズに積極的な、トヨタカローラ名古屋に話をうかがいました。

文/奥野大志
写真/トヨタカローラ名古屋 GR Garage日進竹の山(SNS画像を使用)

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ハイコンプやボルトオンターボなど、チューニングショップのよう

 トヨタカローラ名古屋のカスタマイズ基地は愛知県日進市にあるGR Garage日進竹の山。2012年にオープンしたAREA86をルーツに持ち、総勢7人のスタッフで切り盛りしています。GR Garageは2017年にスタートしたTOYOTA GAZOO Racingの施策のひとつで、一定のルールはあるものの、お店の特色づくりは各販売店に委ねられています。インタビューをお願いしたのはGR Garage日進竹の山のGRコンサルタント、寺尾裕矢さん。AREA86の時代から番頭を務めている経験豊富なスタッフです。

 GR Garage日進竹の山に話を聞きたいと思った理由は、とにかくカスタマイズに積極的だから。外装メインのライトなカスタマイズにとどまらず、ハイコンプエンジンやボルトオンターボなどのチューニングも手掛けており、本格的なチューニングショップのよう。全国に59店舗あるGR Garageの中でも際立った存在です。

 「お客様のやりたいこと、望みをかなえることに全力を尽くすことが大事だと思っています。自分のクルマを自分色に染めたい、その気持ちが強い人が多いので、日進竹の山ならやってくれるだろうという、お店に対する期待値も高いと思います」(寺尾さん)

GR Garage日進竹の山の公式キャラクター、カロニャーゴカラーのボルトオンターボ仕様の86(フェイスブックから)
GR Garage日進竹の山の公式キャラクター、カロニャーゴカラーのボルトオンターボ仕様の86(フェイスブックから)
同ワルニャーゴカラーの86。こちらもボルトオンターボ仕様(フェイスブックから)
同ワルニャーゴカラーの86。こちらもボルトオンターボ仕様(フェイスブックから)

いわゆるグレーゾーンを作らず、白黒をハッキリつける

 カスタマイズを行う上で、法規に合致した車両というのは大前提。ディーラーに限らず、万が一のことがあれば営業ができなくなってしまうので、ブレてはいけないポイントですが、経験や知識が求められるところでもあります。GR Garage日進竹の山では、入庫の前にユーザーのクルマをチェック。どこのディーラーでも車検が通る状態なのか、必ず確認しています。

 「長く説明した後に、やっぱり作業を受けられないとなると、がっかりされるので、最初の段階でお客様に聞いています。グレーゾーンはありませんし、車検に通るかどうかわからないままパーツを付けるということもありません。必ず白黒をはっきりつけます」(同)

 かつて改造車には違法改造というイメージがつきまとっていましたが、現代において、違法でもいいから乗りたいという人はほとんどいないと思います。そういう意味では白黒をはっきりつけてくれるGR Garage日進竹の山の姿勢に安心を感じる人は多いはず。でも、ここで思うのは、本格的なカスタマイズに対応するディーラーがなかなか増えないのはなぜかということ。

 「常に重整備やオーバーホールをしている店舗以外はやりたがらないと思いますよ。時間がかかるし、不安もあります。私たちもAREA86のオープン当初からやっていたのではなく、探り探り。メーカーに指定されていることだけでなく、自分たちでビジョンを考えるしかなく、がむしゃらにやったことで、どうしていくかが明確になったと思います」(同)

ショールームには多くのパーツが展示、販売されており、交換や取り付けにも対応(フェイスブックから)
ショールームには多くのパーツが展示、販売されており、交換や取り付けにも対応(フェイスブックから)

ユーザーのリクエストに応え、86後期型の純正部品流用に取り組む

 GR Garage日進竹の山がこれまで行ったカスタマイズ事例の中で、最も反響が大きかったのが86の後期型パーツの流用。後期型は多くの前期型オーナーの羨望の対象となり、インターネット上には後期型パーツの流用に関する情報があふれました。

 中でもLED化されたヘッドライトは見た目の印象が大きく変わるため、注目を集めましたが、車検を通るかどうかについては誰も情報を持っていません。しかし、GR Garage日進竹の山(当時はAREA86)は前期型オーナーの依頼に応え、デモカーを管轄の陸運事務所に持ち込み、適合を確認(陸事を管轄している陸運局により判断が異なる)。納車しています。

 ディーラーなら安心して作業を依頼できるということで、流用の依頼が増加。これまでディスプレイ付きの後期型メーターやステアリングスイッチの付いた後期型ステアリング、後期型のLEDテールなどの流用を行っており、その仕上がりは専門誌でも取り上げられました。

 「前期につくかつかないか問題はかなりバズりまして。あれはメガヒットでしたね。陸事に持ち込んで確認しました」(同)

GRヤリスやGRスープラのお客も増加中。新車購入と同時にカスタマイズを依頼するケースも増えています(フェイスブックから)
GRヤリスやGRスープラのお客も増加中。新車購入と同時にカスタマイズを依頼するケースも増えています(フェイスブックから)

苦労をチャンスととらえ、壁を打ち破ってきた

 GR Garage日進竹の山はカスタマイズのリクエストに応えることは、特別な仕事ではなく、他のサービスと同様、ディーラーとして当然のサービスと考えています。

 「今は86だけに限らず、ファミリーにも興味を持ってもらえるように取り組んでいます。家族も楽しめるような環境をつくることで、ここに来やすくなるし、チューニングしやすくなると思います。家族の理解が必要ですね」(同)

 ビジネスとして成立させるには越えなければいけないハードルがたくさんありますが、スタッフそれぞれが苦労をチャンスととらえ、壁を打ち破ってきました。全国各地にこういったお店がもっと増えてくれれば、ユーザーの利便性も上がると思いますので、トヨタディーラーはもちろん、他メーカーのディーラーにも期待ですね。

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