新型ステップワゴン登場で考える今のホンダが失ったもの〜「偉大なる初代ステップワゴンという存在」

■ホンダの売れ筋モデルがダウンサイジング化した影響をもろに受けてしまったか?

 ホンダの場合、N-BOXが2021年1~10月の1カ月平均で約1万6000台を届け出しており、N-WGNなども含めると、国内で売られるホンダ車の50%以上が軽自動車になる。

 さらにコンパクトミニバンのフリードも1カ月平均で約5900台が登録され、今ではホンダのブランドイメージがダウンサイジングした。そのためにステップワゴンの売れゆきが影響を受けたり、需要を奪われたりしている面もある。

こちらが東京オートサロンでお披露目された新型の6代目「ステップワゴン」だ。発売は4月以降の予定だが、ひと足先に発売されたノア/ヴォクに対抗すべくお披露目された形だ
こちらが東京オートサロンでお披露目された新型の6代目「ステップワゴン」だ。発売は4月以降の予定だが、ひと足先に発売されたノア/ヴォクに対抗すべくお披露目された形だ

 そのステップワゴンがフルモデルチェンジを受けた。新型について昨年、販売店に尋ねたら、以下のように返答された。「次期ステップワゴンのティザーキャンペーンは、2021年12月から2022年1月に開始する可能性もあるが、納車を伴う発売は2022年の4月から7月頃になりそうだ。ただし、コロナ禍の影響で、依然として半導体などのパーツが不足しており、先送りされるかもしれない」。

■FFミニバンの先駆けだった初代。フラットフロアで圧倒的な室内の広さを実現!!

 先代ステップワゴンの売れゆきはいまひとつ冴えなかったが、1996年に発売された初代モデルのインパクトは大きかった。その理由は全高が1800mmを超えるフラットフロア構造のハイルーフミニバンでは、最初の前輪駆動車であったからだ。

FF車初のハイルーフミニバンとして誕生した初代「ステップワゴン」。新しい生活様式を提案するホンダ「クリエイティブムーバー」の1車種として登場、その広大なスペースを武器に大ヒットした
FF車初のハイルーフミニバンとして誕生した初代「ステップワゴン」。新しい生活様式を提案するホンダ「クリエイティブムーバー」の1車種として登場、その広大なスペースを武器に大ヒットした

 一方、セレナの初代モデルは1991年に発売されたが、エンジンは前席の下に搭載されて後輪を駆動した。前輪駆動を採用したのは1999年に登場した2代目からだ。

 タウンエースノア/ライトエースノアも同様で、1996年に初代が発売された時は、エンジンをボンネットの内部に収める後輪駆動であった。前輪駆動に切り替わるのは、2001年のフルモデルチェンジでノア/ヴォクシーになってからだ。

 その点でステップワゴンは、初代モデルからライバル車に先駆けて前輪駆動を採用したから、さまざまな機能が先進的であった。

2列目と3列目をフルフラットにした状態。さらに前席からはウォークスルー可能と、FF車ベースならではの広さと利便性を最大限に活かしたクルマが初代ステップワゴンだった。
2列目と3列目をフルフラットにした状態。さらに前席からはウォークスルー可能と、FF車ベースならではの広さと利便性を最大限に活かしたクルマが初代ステップワゴンだった。

 まず、後輪駆動のライバル車に比べると、前輪駆動の初代ステップワゴンは床が大幅に低い。ミニバンは床を平らに仕上げる必要があり、駆動システムをカバーできる位置まで床を持ち上げる。

 そうなるとエンジンを縦置きにする後輪駆動車では、床が極端に高まってしまう。ハイエースやキャラバンの床が高いのも、後輪駆動で床を平らに仕上げているからだ。

 その点で初代ステップワゴンは、前輪駆動で床が低いから乗り降りしやすく、全高のわりに室内高にも余裕があった。全高は1830mmだが、室内高は1335mmを確保していた。

 ライバル車のタウンエースノア/ライトエースノアは、全高は1855mmで初代ステップワゴンよりも少し高かったが、後輪駆動とあって床が持ち上がり、室内高は1260mmに留まる。前輪駆動の初代ステップワゴンは空間効率が優れ、車内も広々としていた。

次ページは : ■今日まで続くミニバンの基礎を25年前に確立した初代の偉大さに改めて気づく

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

スプリンターカリブ復活!?G16E搭載のAE86試乗記も!ベストカー12月26日号発売中!!

スプリンターカリブ復活!?G16E搭載のAE86試乗記も!ベストカー12月26日号発売中!!

 ベストカーWebをご覧の皆さま、ちわっす!今号もベストカーは寒さに負けず頑張りました!これを見た帰…