安価な軽油が燃料
昨年、一時価格が高騰したガソリンなどの燃料ですが、ディーゼルエンジンの燃料である軽油はガソリンよりも安価。ディーゼル車は燃費がいいうえに、燃料も安いため、ガソリン車に比べてかなり経済的になります。
同一モデルでディーゼル車とガソリン車が用意されている、マツダCX-30を例に、燃料代を比べてみましょう。CX-30のディーゼル車(1.8L直4ディーゼルターボエンジン)のWLTCモード燃費は19.2km/L、ガソリン車(2.0L直4 無過給エンジン)の燃費は15.4km/Lです。ディーゼル車の方が、モード燃費は約25%優れています。
軽油132円/L、ガソリン155円/Lとして、年間10,000km走行すると想定すると、ディーゼル車の年間燃料代は68,750円、ガソリン車は100,649円となり、1年の燃料代はディーゼル車の方が約32,000円も安く済みます。
高い低中速トルクによる、パワフルな走り
クリーンディーゼルに限らず、ディーゼルエンジンはほぼすべてターボエンジンです。ディーゼルは、空気を増やして薄い混合気(希薄)で燃焼させないと、PM(特にスス)が発生するからです。
ガソリンエンジンでは、過給すると低速域でノッキングが発生するため、十分な低速トルクは得られません。過給の効果が出るのは主に中高速域です。対してディーゼルエンジンは、ノッキングが発生しないので、過給の効果で低中速トルクが大幅に向上できます。一方で、頑丈な構造のディーゼルは、高速域ではフリクションが大きくなるため、高回転化は難しく高出力は得られません。
最高出力が同等のディーゼルエンジンとガソリンエンジンの性能特性を比べると、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンの1.5倍から2倍近い低中速トルクを発生します。これにより、ディーゼル車はパワフルな加速や登坂性能を発揮することができます。
そのため、現在国内で販売されているクリーンディーゼル車は、トヨタのランドクルーザー、三菱のデリカD:5、マツダのCXシリーズなど、クルマは重たいが、パワフルな走りを楽しみたいオフロード車やSUV、商用車が多いです。
ガソリン車に負けない排ガス性能
前述したように、厳しい規制をクリアしているクリーンディーゼルは、排ガス性能についてもガソリン車と同等と言っても差し支えありません。
何かと話題となるPMについては、最近増えている直噴ガソリン車よりも、排気系にフィルタを装着しているクリーンディーゼルの方が少ないことが報告さています。直噴ガソリンエンジンでは、ディーゼルのように直接シリンダーにガソリンを噴射するので、混合が不十分でPMが発生しやすいのです。
6年以上乗るならば、ディーゼルの方が安くなる!?
ディーゼル車は車両価格が高くなるのがネックですが、CX-30を例に、ライフサイクルコストについて概算してみましょう。CX-30のディーゼル車価格は2,625,000円、ガソリン車価格2,375,000円。ディーゼル車では環境性能割(旧自動車取得税)の56,800円が免除されますが、それを考慮しても、イニシャルコストは、ディーゼル車の方が193,200円(=250,000-56,800)割高です。
このイニシャルコストの差を、先に算出した燃料代メリット32,000円/年で挽回するには、約6年かかります。ただ、逆にいうと、この例では、ディーゼル車は6年以上乗るとガソリン車よりもライフサイクルコストが安くなります。
パワフルな運転を楽しみたい方や、長距離移動が多い方、また長く乗り続けたい人には、ディーゼル車が絶対お勧め。ぜひ一度、試乗してみてください。
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