■動力性能&加速フィーリング比較
カローラクロスには1.8Lのノーマルエンジンとハイブリッドが用意されるが、販売総数の90%近くをハイブリッドが占める。ハイブリッドを選ぶと、燃料代を燃費数値上ではノーマルエンジンの55%に収めることが可能だ。
しかもハイブリッドとノーマルエンジンの価格差を売れ筋グレード同士で比べると35万円に抑えた。ハイブリッドは購入時に納める税額も約10万円安いので、実質差額は25万円に縮まる。
そこでレギュラーガソリン価格が160円/Lで計算すると、5万kmを走ると25万円の実質差額を取り戻せる。
ハイブリッドはエンジンノイズも小さく、100V・1500Wの電源コンセントも4万4000円でオプション装着できるから、ハイブリッドが売れ筋になった。駆動方式もノーマルエンジンは前輪駆動の2WDのみになる。
ヴェゼルもハイブリッドのe:HEVが主力だ。1.5LのノーマルエンジンはベーシックなGに限られるため、販売総数の90%以上をe:HEVが占める。そこでハイブリッド同士で走りを比べる。
加速が滑らかなのはヴェゼルだ。e:HEVでは、通常はエンジンが発電機を作動させ、駆動はモーターが担当する。そのためにアクセル操作に対する動力性能の立ち上がりが機敏で、その後の加速は滑らかだ。カローラクロスのハイブリッドも洗練を重ねて不満はないが、ヴェゼルのe:HEVには上質感が伴う。
●ヴェゼルの勝ち
■走行安定性&操舵フィーリング比較
走行安定性は両車ともに高い。例えば峠道の下りカーブを走行中、速度が過剰に高まって不用意にブレーキペダルを踏んだ時も、後輪の接地性が削がれにくい。
高速道路のトンネルを抜けて、強い雨混じりの横風にあおられた時も同様で、直進安定性が下がりにくい。両車とも高速道路から峠道まで、安心して運転できる。
その上で比べると、カローラクロスは操舵角に応じて良く曲がる印象だ。峠道でも車両の向きが適度に機敏に変わり運転しやすい。スポーティな感覚も味わえる。
●カローラクロスの勝ち
■乗り心地比較
カローラクロスの乗り心地は、駆動方式とタイヤによって異なる。駆動方式では4WDが快適だ。カローラクロスのリヤサスペンションは、2WDでは車軸式のトーションビームだが、4WDは独立式のダブルウイッシュボーンに上級化され、乗り心地でも有利になった。
タイヤはZに装着される18インチが少し硬く、SとGの17インチには柔軟性が伴う。つまり4WDのSやGが最も快適で、2WDのZでは硬さが強まる。
その点でヴェゼルは、時速40km以下では路上のデコボコを伝えるが、全般的に柔軟な印象だ。デコボコの吸収性は、カローラクロスとは対称的で、2WDが少し柔軟に受け止める。4WDはやや硬いが、総じて乗り心地はヴェゼルがカローラクロスよりも快適だ。
●ヴェゼルの勝ち
■安全&運転支援機能比較
両車ともに衝突被害軽減ブレーキは自転車などを検知できる。後方の並走車両を検知して知らせる機能も採用され、標準装着とオプションの違いはあるが、同等の機能を備えることが可能だ。
●引き分け
■燃費性能比較
2WDのWLTCモード燃費は、カローラクロスハイブリッドが26.2km/L、ヴェゼルで売れ筋のe:HEV・ZとPLaYは24.8km/Lだ。ヴェゼルも高効率なハイブリッドシステムを搭載するが、燃費数値はカローラクロスハイブリッドが約6%優れている。
●カローラクロスの勝ち
■買い得グレードと価格の割安度比較
カローラクロスの買い得グレードは、ハイブリッドS(275万円/2WD)になる。前述の通り17インチタイヤを装着するので、走行安定性と乗り心地のバランスが優れている。
オプションで後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットモニター(4万4000円)と、リヤゲートの電動開閉機能(7万7000円)を加えると、車両価格との合計額は287万1000円だ。
一方、ヴェゼルの買い得グレードはe:HEV・Z(289万8500円)だ。ブランドスポットインフォメーションやリヤゲートの電動機能は標準装着されている。
つまり装備内容を合わせると、カローラクロスとヴェゼルの価格はほぼ等しい。真っ向から対抗するライバル同士だから、後から登場したカローラクロスが、装備と価格をヴェゼルに合わせた。
そうなるとシートアレンジが多彩で内外装も上質なヴェゼルが割安になる。
●ヴェゼルの勝ち
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