話題の新型とはいえ、販売台数は見込めない
現行Z34の販売台数は、14年間で約13万台(2020年は395台、2021年は461台)だ。1969〜1978年の10年間で48万台も売れた初代S30型や、1978~1983年の6年間で約42万台が売れた2代目のS130型のように、フェアレディZの売り上げが、日産の収益へ直接的に貢献していた昔とは、状況が大きく異なり、内外装のデザインを刷新したとはいえ、2ドアクーペであるフェアレディZの需要が大きく増えることは考えられない。欲しい方がひと通り購入したあとは、じりじりと台数を落とすことになるだろう。
そうなると当然、「モデル存続の危機」となる。上記のような規制に対応しなければならないとなったらなおさらだ。
「限定販売方式」にしてはどうか
2021年8月、日産はGT-R NISMOの2022年モデルを発表したが、事前予約が殺到し、発表時点ではすでに予定販売台数を超えて受付終了となっていた。その翌月登場したGT-Rの2022年モデルの100台限定特別仕様車「T-spec」の両モデルは、なんと抽選制という販売方法がとられたが、やはり申し込みは殺到、追加で100台販売されたそうだが、こちらも即完売だったそうだ。
新型フェアレディZは、限定の特別仕様車「Proto Spec」が用意されているが、レギュラーモデルの方も、「2022モデル限定販売1000台」といった形で、稀少価値を持たせてはどうだろうか。Z34はこれまで、マイナーチェンジとは別に、「ヘリテージエディション」(2018)や、50周年記念モデルの「50th アニバーサリー」(2019)を、期間限定車として発売してきた。
これらは飽きられたZマーケットに刺激を与える施策となり、売り上げにも貢献したという。スポーツカーという特性(趣味性)を考えれば、レギュラーモデルを用意しておくよりも、このような限定販売方式のほうが有効なのではないだろうか。
東京オートサロン2022では、アフターパーツを装着したコンセプトカー「フェアレディZ CUSTOMIZED PROTO」が登場したが、こちらはおそらく、「世界限定432台」として用意されるだろう。Zファンならばピンと来るであろうが、「432」という数字は、初代フェアレディZのトップグレードとして設定された「Z432」にあやかったもの。こうした意味のある数字はアピール力が強く、使わない手はない。
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次の節目は、60周年となる2027年モデルあたりだ。規制強化でZ34に残された時間は少ないが、売り方で、長きにわたって日産のスポーツモデルとして貢献してきたZ34に有終の美を用意してほしい。そしてその先には、バッテリーEVとして、フェアレディZが生き残る道を用意してほしい、と思う。
【画像ギャラリー】東京オートサロン2022での、日本仕様の新型フェアレディZ発表のようす(31枚)画像ギャラリー
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