約8年の沈黙は変化への準備? 新型ノア・ヴォクシーのフルモデルチェンジがもたらすもの
初代は約6年間、2代目は約7年間のモデルライフを送った。3代目は8年間と代を追うごとに、ノア・ヴォクシーのモデルライフは長くなっている。
その間、トヨタはハイトミニバンについて、多くの研究をしたのだろう。また、濃密な市場調査を重ねたように感じる。今回の新型ノア・ヴォクシーのフルモデルチェンジは、これまでのような広域に対象ユーザーを想定した変更ではなく、新型ノア・ヴォクシーを欲する人を究極までに絞り込み、その要望に最大限応えたフルモデルチェンジだと思う。
3代目までは「5ナンバーサイズミニバン」を名乗っていたが、人気があったのは、5ナンバー枠を少しオーバーするエアログレードだった。ノアSi・ヴォクシーZSが販売の中心にあったことから、今回のフルモデルチェンジでは、あえて5ナンバー枠にこだわることはしなかったのだろう。
また、挑発的なエクステリアは、ミニバンの価値にプラスワンを出来るエッセンスだ。これで大成功を収めたのがアルファードであり、新型ノア・ヴォクシーにも「威厳」・「格式」といった雰囲気を感じられるようになった。
ミニバンがどうあるべきかという問いに対して、トヨタが出した答えが、新型ノア・ヴォクシーだ。5ナンバー枠にこだわる必要は無く、エクステリアも万人が共感するものでなくていい。あえてキャラ立ちしたほうが売れるということだろう。
もちろん変わることに対して批判は多いが、承知のうえでの変更だ。批判されるということはそれほどまでに注目を集めていることの裏返しでもある。新型ノア・ヴォクシーに集まる視線はさらに多くなり、販売に拍車がかかると読む。
新型ノア・ヴォクシーのモデルチェンジから、今後のトヨタが万人受けではなく、ターゲットを小さく絞り新車を展開していく姿勢を、強く感じられた。新しいトヨタの取り組みは2022年、さらに加速していくだろう。
ド派手なエクステリアは受け入れられるか? 新型を販売店はどうみている?
2022年現在、全チャネルで同じクルマを販売しているトヨタだが、まだまだ専売車種があった頃のチャネル色は残っている。新型ノア・ヴォクシーに対して、様々な反応があるなかで、デザイン面を最も好意的に受け取っていたのはネッツ店だ。
これまでも奇抜なクルマを数多く扱ってきただけに、自社ユーザーには派手なクルマを好む人がそろっている。bBやヴォクシー、ヴェルファイアなど、新型ノア・ヴォクシーを購入しそうな保有客は多い。
カローラ店では、エクステリアが派手すぎないかと、懸念の声も出ていた。確かに、ノアユーザーへおすすめするには、少々勇気のいるクルマになったが、エクステリアには慣れも出てくる。心配の種は、時間が解決してくれるだろう。
トヨペット店でも反応は上々である。価格レンジが上がり、上級車種を好む自社ユーザーへも、強くアピールできるクルマになったと意気込んでいた。
そして一番盛り上がりを見せていたのがトヨタ店だ。ノアのエアログレードS-G・S-Zが良いと太鼓判を押す。ここには、トヨタ店が抱えるミニバン問題「エスティマオーナーをどうするか」が見え隠れする。
今なお多くのエスティマオーナーが、行き先を無くしたままエスティマに乗り続ける。トヨタ店としても強く推せるクルマが無く、代替は気持ちよく進んでいなかった。車格と価格がエスティマに近づいたことで、エスティマ代替難民の受け皿として期待する声が大きい。
SNS上では様々な声が飛び交っているが、販売現場では「派手すぎる」「大きすぎる」といった声は少なかった。巷の印象よりも、実際の現場では新型ノア・ヴォクシーが印象良く映っているのかもしれない。
1月中旬時点で3万台を超える注文が入った新型ノア・ヴォクシー。トヨタミニバンの新しい潮流は、大成功といえるスタートを切った。ライバルはどう出てくるのか、今後のミニバン市場から目が離せない。
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