ホンダの誤算 いつからシビック人気は落ちたのか
人気の衰えが見えはじめたのは2000年の7代目からだ。4度目の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したものの、先代比で販売台数が半減したモデルである。
2005年に登場した8代目シビックは6.6万台とさらに販売台数を減らすこととなる。人気が高まっていたフィットに類似していたこともあり、ボディ形状をハッチバックからセダンへ変更せざるを得なかったモデルだ。
この変更がシビックの失敗といえる。3ナンバーのミドルサイズになり「これではシビックではなく別のクルマだ」とユーザーに外を向かれる結果となった。さらに市場では、コンパクトカーやワンボックス(ミニバン)への熱量が高まり、セダンというボディ形状も足かせとなる。結果としてユーザーから見限られ、日本市場からの一時撤退も、やむを得なくなった。
販売店から見たシビックはユーザーと共に成長したクルマ
発売当初は老若男女、素人から玄人まで、万人から支持されていたシビック。2代目はスーパーシビック、3代目はワンダーシビックとニックネームを付けられるほどに愛された。
シビックは、市民の声を聞き進化するクルマだったと思う。この時代のユーザーは、シビックからシビックへと、乗り換える楽しみを得る。そしてシビックは大ロングセラーとなったのだろう。フィットの登場で若者人気こそなくなったが、中高年層と共に成長したシビックは、ユーザーと販売店にとってなくてはならない存在だった。
しかし、2021年に登場した11代目で、ある変化が見える。これまでは、中年層からの支持が高い傾向にあったのだが、11代目の購入層は20代が最も多く23.9%、次いで50代の22.2%となっている。シビックの購入層は、大きく若返った。
若者にとっては、良くも悪くもシビックに対してのイメージや先入観がない。この結果は、今のイイクルマとして評価されていることに他ならないのではないかと考える。
筆者には、今のシビックとトヨタカムリの販売傾向が類似しているように感じた。カムリは昔と比べ、乗り心地は快適、さらに高級感も加わっているが、手の届かない価格ではない。11代目シビックにも同じような特徴がうかがえる。
若者やファミリーといったユーザーの支持を集めるためには、クルマの維持費を下げ、居住性の良さや実用性を高めなければならないだろう。そして、ホンダらしく楽しい走りを感じられる必要があるのではないだろうか。
シビックが市民の声を聞き進化するクルマとして復活し、日本でもう一度ブームを起こしてくれることを期待したい。
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