■サンタナが日本に残した置き土産とは?
その後日産は、直5DOHCエンジン(140馬力)を搭載した「Xi5アウトバーンDOHC」を追加。アウトバーンという名は魔法、DOHCも魔法。魔法の二乗の魅力に私は勝てず、社会人3年目にしてサンタナからサンタナへと買い替えた。今度はボディカラーは赤。ミッションは当然5速MT。実にカーマニアらしい選択だった。
が、大きな期待は空振りに終わった。DOHC化された直5エンジンには、SOHCのような奥行きの深いトロトロした快感がなく、かと言ってそれほどパワーもなかったのだ。サンタナは、直5SOHCの5速MTモデルがベストだったような気がする。乗ったことないですが……。
ただ、サンタナは日本に大きな置き土産を残した。1989年に発売された日産プリメーラ(P10型)は、FFとしてすばらしいシャシー性能を備えていたが、そこにはサンタナの学習効果があった。加えてサンタナは、若干ながら私のようなカーマニアも生んだ。サンタナの直進安定性の衝撃こそが、自分のカーマニア人生の原点のひとつなのである。
サンタナは、7年間でわずか5万台弱という販売実績を残し、静かに日本を去った。一方、中国や南米では、現地生産が大成功。特に上海VWで生産された中国版サンタナは、長く国民車として愛され、中国はサンタナだらけになった。21世紀に入ってからも、中国へ行けばサンタナのタクシーがたくさん走っているのを見ることができて、私はひとり、狂喜したものである。
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