世界1位のトヨタでも失敗はある!? 忘れたい? 忘れ去られたトヨタ車5選

■トヨタ ヴォルツ(2002年8月~2004年3月)

 クルマそのものとしては悪くなかったブレビスに対し、「車そのものが微妙だった」としか言いようがないのが、2002年8月に登場した「トヨタヴォルツ」だ。

GMと共同で企画を行ったヴォルツ。米国で企画されたクルマだけあり、前席と後席居住空間および荷室の広さは十分。しかしデザインはイマイチで2004年3月に販売終了
GMと共同で企画を行ったヴォルツ。米国で企画されたクルマだけあり、前席と後席居住空間および荷室の広さは十分。しかしデザインはイマイチで2004年3月に販売終了

 ヴォルツは、トヨタ(シボレー)キャバリエの国内販売不振で学んだトヨタが、企画段階からGMと手を組み、トヨタ主導により開発したクロスオーバーSUV。

 車両の企画はトヨタとGMが共同で行い、設計と評価はトヨタが担当。

 生産は、GMとの合弁会社であるカリフォルニアの「NUMMI(New United Motor Manufacturing, Inc.)」で行われた。

 搭載エンジンは最高出力132psの1.8L直4DOHCが基本で、そのほかに同190psのハイチューン版1.8L直4も用意。トランスミッションは4速ATのほか、190psモデルは6MTを選ぶこともできた。

 走りは「可もなく不可もなく」といったニュアンスだったが、さすがは米国で企画されたクルマだけあって、前席と後席居住空間および荷室の広さは十分。クロスオーバーSUVならではの高めの最低地上高ゆえに、使いやすいクルマではあった。

 だが……デザインがまったくの謎だった。

 フロントマスクはエグい感じのデザインで、ルーフの角度とルーフレールの角度がちぐはぐ。

 さらにそのルーフレールは耐荷重がきわめて軽かったため、ほとんど「格好だけ」というシロモノだったのだ。

 さらに言えば、後席は前述のとおりなかなか広いのだが、「広いくせになぜか閉塞感は強い」という謎のパッケージングでもあった。章男社長率いる現在の無敵トヨタであれば、決して国内デビューすることはなかった一台だろう。

 2004年3月に販売終了するまで9012台が販売されたが、現在の中古車相場は50万~70万円、全国で5台ほどが細々と流通している。

■トヨタ ブレイド(2006年12月~2012年6月)

 2006年12月に登場した「トヨタブレイド」も、なんとも微妙なトヨタ車だった。

 ブレイドは、「大人しくない大人に、ショート・プレミアム」とのうたい文句を伴って登場した“小さな高級車”で、トヨタオーリスの兄弟車にあたる。

 オーリスの搭載エンジンは1.5~1.8Lだったが、こちらブレイドは2.4L、直4が基本で、リアサスペンションには路面追従性に優れるダブルウィッシュボーン式を採用。

 インテリアもダッシュボードの表皮はスエード調で、上級グレードには運転席8ウェイパワーアシスト付きのアルカンターラ張りシートが採用された。

 さらにデビュー翌年の2007年8月には、最高出力280psをマークする3.5L、V6を搭載する「ブレイドマスター」を追加している。

2006年12月に登場したトヨタブレイド。「大人しくない大人に、ショート・プレミアム」と“小さな高級車”で、ダブルウィッシュボーンやスエード調のインテリアだが、2012年6月に1代限りで販売終了
2006年12月に登場したトヨタブレイド。「大人しくない大人に、ショート・プレミアム」と“小さな高級車”で、ダブルウィッシュボーンやスエード調のインテリアだが、2012年6月に1代限りで販売終了

 しかしトヨタブレイドは、ドイツのVWゴルフやBMW1シリーズなどを仮想敵とした割に、走りは今ひとつだった。

 いや極端に悪いわけでは決してないのだが、エンジンパワーは欧州同クラス車と同じぐらいあるのだが、それを操るステアリングやサスペンションに今ひとつ締まりがないため、欧州同クラス車のように速度を上げる気になれない……というのが正直なところだったのだ。

 さらに、2007年8月に追加されたブレイドマスターの3.5L、V6エンジンは「最高出力280ps!」という触れ込みだったが、実際に乗ってみると「……これ、本当に280psも出てるの?」というニュアンスのカタログ番長でしかなかった。

2007年8月に追加されたブレイドマスター。欧州車を敵とした3.5L、V6エンジン、最高出力280psのモデルを販売するも、走りは欧州車に惨敗。
2007年8月に追加されたブレイドマスター。欧州車を敵とした3.5L、V6エンジン、最高出力280psのモデルを販売するも、走りは欧州車に惨敗。

 それらモロモロの総合結果として良いイメージが築けなかったブレイドは、登場から6年後、1代限りでむなしく消滅することとなったのだ。

 中古車相場は現在、2.4Lモデルが20万~80万円ほどで、流通量はまずまず豊富。

 280psの3.5Lを搭載したブレイドマスターは50万~120万円で、流通量は少なめだ。

次ページは : ■トヨタ マークXジオ(2007年9月~2013年12月)

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!