■多くの並行輸入業者がLMを日本で販売しようと試みたが…
上述のような事情もあって、今のところ並行輸入でLMのナンバーをつけることに成功した業者はごくわずかだ。関西のとあるモータース販売店はこう嘆く。
「うちもLMを入れて日本で売ろうと思ったんですけど、車両価格が高いし、日本での登録は非常に難しいと聞いたのでやめました。知り合いの車屋はLMを数台輸入したんですけど、結局ナンバーをつけられませんでした。最近はアルファードをベースにLM仕様にするボディキット(純正)もありますから。そのほうがいいですよ。LMより各段に安くできますし、内装もやろうと思えばできなくないでしょう」
またミニバン専門店を経営する関東の業者いわく、
「中国の業者は(日本と違って)簡単に海外(LMの場合は日本)の業者に販売してくれるんですよ。日本は今話題のランドクルーザー300もそうですけど、メーカーが全力をあげて転売防止、輸出防止に躍起になっていますから、海外で人気がある日本車の新車を輸出するのはとても苦労します。LMの場合、日本に持ってくること自体はそれほど大変じゃない。だけどナンバーがねえ…。中国や台湾のクルマで日本のナンバーを取るのは、お金も手間も格段に掛かりますから。それでも取得できればいいですけど、まず無理でしょう。これがFMVSS(米国の保安基準を満たしている証明)やWVTA(EU諸国の保安基準を満たしている証明)などのラベルが貼られた並行輸入車なら、さほど苦もなく日本のナンバーがとれるんですけどね…」
LMを扱おうとしていた業者の一人は、「一回アメリカに持って行ってから日本に再度輸入するほうが簡単にナンバーとれるんじゃないでしょうか?」とまで言っていた。
さて、LMの並行輸入についてはこんな状況なわけだが、話を戻して、日本に一度輸入したLMを買い戻す動きが進んでいるという話を戻そう。「買い戻す」…? これはいったいどういうことなのか(ここまでの流れで「買い戻す理由」はなんとなくお察しいただけたかもしれないが)。
「買い戻し」とは、日本で登録することが事実上不可能となったLMを、中国の販売業者が買い戻しているということである。日本に並行輸入したはいいがナンバーのつかない2000万円以上のLMが宙に浮いた状態となっている。そこに目を付けた(?)中国の並行輸入業者が、日本からLMを買い戻して中国や周辺国に「再輸入」しているという。
なお中国では原則として日本からの中古車輸入を認めていないが、LMに関しては日本でナンバーがついていない(=登録も販売もできていない)わけだから、「中古車」ではなく「新車」扱いとなる。それゆえに「買い戻し」も比較的スムーズに可能となる。
しかも今は新車供給が遅れている状況なので、日本で行き場を失くしたLMを買い戻せるなら大歓迎! と言ったところだろう。
日本でLMのナンバー取得に成功したとある自動車販売店いわく、
「きちんとした手続きさえとればLMに日本のナンバーをつけることは可能ですし、自動車保険も契約ができますよ。また、ナンバーが付く=車検証が出るということになりますが、車検証の各種データがあればメーカーの純正部品も注文できます。私のところには、登録の方法を教えて欲しいという要望もすごくたくさん来ましたが、全部断っています。もうこの先、LMを日本に輸入して販売するつもりもありません」
とのことだった。
最近では都内近郊にて見た目はLM、中身はアルファードを見かける機会も増えてきた。
今年の東京オートサロン(2022年1月開催)や大阪オートメッセにも「LMルック」のアルファードの初出展が相次いでおり、どれもぱっと見はLMに見える。特徴的なスピンドルグリルをはじめとしたLMのボディパーツは、ほとんどが中国経由で入手可能な純正部品となりパーツの付け替えも簡単とのこと。
中国や台湾から輸入されたLMを数千万円で購入するより、LM純正パーツを装着してコンバートされたアルファードを購入する方が賢明と言えるだろう。
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