ロータスのスポーツカーが生産終了「エリーゼ、エキシージ、エヴォーラの功績を称える」

■エリーゼの登場

ロータス・エリーゼ。2004年製のモデルからトヨタ製の2ZZ-GE型1.8L、直4エンジンを載せ、生産。コンパクトで乗車はひと苦労、パワステなしとまさに走るためのクルマだった
ロータス・エリーゼ。2004年製のモデルからトヨタ製の2ZZ-GE型1.8L、直4エンジンを載せ、生産。コンパクトで乗車はひと苦労、パワステなしとまさに走るためのクルマだった

 そのなかで登場したのがエリーゼだった。1995年にデビューしたエリーゼは初期モデルこそローバー製エンジンを搭載していたが、2004年にトヨタ製の2ZZ-GE型1.8L、直4エンジンに積みかえ、生産を継続してきた。

 2006年からは1.6Lに1ZZ-FE型、2011年からは1ZR-FAE型のいずれも1.6Lが搭載されている。

 エリーゼは全長3.8m、全幅1.72m、ホイールベース2.3mというコンパクトな2ドアオープンのボディで、アルミ合金の部材を接着剤で組み立てたフレームとFRP製の外板で軽量に作られていた。

 実際に試乗してみると、バスタブフレームはサイドシルが高く、幅広いので乗降にはコツが必要だった。室内は6MTのシフトはゲートからムキ出し、クラッチペダルの反発力も強く、低いドライビングポジションのフルバケットシートが標準だった。

 もちろんロック・トゥ・ロック2.7回転のハンドルはノンパワーだ。スパルタンだが、クルマとの一体感はまさにライトウェイトスポーツだった。

 エリーゼは数多くのバリエーションが生産された。1.8Lスーパーチャージャーモデルは最高速242km/h、0 -100km加速4.6秒というスーパーモデルもあった。

■さらに過激なモデル「エキシージ」の登場

2000年に登場したエリーゼのチューニングレースモデル「エキシージ」。2011年に大きな進化を遂げ、トヨタ製V6、3.5Lの2GR-FE型+スーパーチャージャーエンジンを搭載する
2000年に登場したエリーゼのチューニングレースモデル「エキシージ」。2011年に大きな進化を遂げ、トヨタ製V6、3.5Lの2GR-FE型+スーパーチャージャーエンジンを搭載する

 エリーゼの成功で資金的にも余裕ができたことで、エリーゼのチューニングレースモデルとしてエキシージがデビューした。

 2000年の発売当初はレース専用モデルだったが、2004年に1.8Lスーパーチャージャーのトヨタ2ZZ-GEエンジンを搭載し、市販を開始。

 2011年からはトヨタ製V6、3.5Lの2GR-FE型+スーパーチャージャーエンジンのエキシージが誕生。このモデルもフルチェンジなしに2021年まで生産、販売された。

 エリーゼのシャシーをベースにV6エンジンをミドシップにするためにボディは全長250mm、全幅50mm、ホイールベースは70mm拡大された。リアのサブフレームは新設計。

 サイドシルの高いボディは、乗降性はよくなかったが、一度バケットシートに座れば、意外に視界はよく、前方フェンダーが見えるので車幅感覚もつかみやすかった。

 動力性能は、エリーゼよりもさらに凄く、最高速は230km/hをオーバーした。クーペとルーフ部分が脱着できるロードスターが選べたほか、ミッションも6速MTとATが用意されたこともあった。

 エキシージもデビュー以来、2021年までフルチェンジを受けずに生産された。

■2+2シーターの上級モデル エヴォーラ登場

2009年にロータスとしては久々の2+2シーターという上級モデル「エヴォーラ」が登場。エリーゼ/エキシージに比べ、乗降性は格段に向上
2009年にロータスとしては久々の2+2シーターという上級モデル「エヴォーラ」が登場。エリーゼ/エキシージに比べ、乗降性は格段に向上

 3車種目は2009年に登場したエヴォーラだ。

 ロータスとしては久々の2+2シーターという上級モデルだが、過去のモデルのように、いたずらに大きく、豪華にすることは避け、新設計されたフレームはわずかに大きい程度に収められた。

 ミドシップの2+2ボディは、ホイールベース2575mm、全長は4370~4380mm、全幅1850mm。パワーユニットはV6、3.5L+スーパーチャージャーなので、エキシージと基本スペックは同じ。もちろんエンジンはトヨタ製を用いている。

 車体はアルミ押し出し材を接着剤で組み合わせている。これはエリーゼたちと同じ手法だ。

 パワーユニットはV6、3.5Lスーパーチャージャーだが、チューニングは何種類か用意されていた。パワーもエヴォーラ400は400ps、410Nm、エヴォーラ410は416ps、420Nmなどで、最高速も300km/h(400)、305km/h(410)となっていた。

 ミッションは6速MTとATが最終モデルまでラインナップしていた。ATのシフトはセンターコンソール上にN/R/D/Pが菱型形状にプッシュボタンで配置されていた。

 室内は、セミバケットシートは着座が低かったが、サイドシルが低く、幅が狭くなったので、乗降性はエリーゼ/エキシージにくらべて格段に向上していた。ただし、後方視界はリアウィンドウが小さく、ドアミラーが頼り。

 リアシートはクッションこそ厚めだが、レッグ、ヘッドスペースともに身長140cmが限界。しかもエンジンからの熱がリアウィンドウごしに伝わってきた。のちにリアスペースを取り去り、ラゲッジスペースとした2シーターモデルも販売された。

 エヴォーラも発売から2021年までフルチェンジすることなく生産された。

次ページは : ■エリーゼ・エキシージ・エヴォーラからエミーラ・エヴァイヤへ 新時代に突入するロータス

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