スカイライン「いろいろな要素が海外向けに」
歴代スカイラインは、大きく見せるボディスタイルと、引き締まった外観を交互に採用してきた。
分かりやすいところでは、7代目(R31)は大きく見せて、8代目(R32)はスポーティに。9代目(R33)では、再び拡大されて3ナンバー車になった。
当時は節操がないと思ったが、市場動向に合わせて拡大と縮小を繰り返していた。マークII(現在のマークX)のような上級セダンが売れ筋になると、スカイラインも4ドアハードトップを用意して、豪華指向にならざるを得なかったのだ。
そうすると、スカイラインのファンから厳しく批判され、次はスポーティに転じた。ファンは喜ぶが、売れ行きが下がり、再び大きくする繰り返しだった。
ところが11代目のV35型以降は、この繰り返しもなくなった。13代目になる現行型(V37)まで、一貫してボディを拡大している。スカイラインがインフィニティ G35として海外を中心に売られるようになり、日本の市場をほとんど考慮しなくなったからだ。
現行スカイラインのボディは、全長4815mm、全幅1820mmまで拡大され、フロントマスクのエンブレムも日産ではなくインフィニティだ。日本で売られるスカイラインなのにインフィニティを名乗る。このメリットが分からない。
運転すれば操舵感が機敏で、北米向けに開発された一種のクセのような挙動を感じる。緊急自動ブレーキを作動できる安全装備は歩行者を検知できない。これも日本の安全装備の常識から逸脱する。
以上のように今のスカイラインは、ボディスタイルとサイズ、運転感覚、安全装備まで、いろいろな要素が海外向けになってユーザーの期待を裏切っている。
ジェイド「3列目は補助席、2列目も長らく座面が不足」
ジェイドは3列シートのミニバンとして2015年に発売。全高が1530mmと低いこともあり、3列目のシートは補助席だ。大人が多人数で乗車できるのは、短距離の移動に限られる。
天井が低いから、3列目を畳んでも自転車のような大きな荷物は積めない。ジェイドを「カッコ良さと実用性を併せ持つスポーティなミニバン」と受け止めたユーザーの期待は裏切られた。
そして、各シート座面の奥行寸法は、1列目が505mm、2列目は450mm、3列目は425mmだ。2列目はミニバンの特等席とされるが、ジェイドでは座面の奥行が1列目に比べて45mmも短い。座り心地が悪く、快適なのは1列目のみとなった。
そこでジェイドは、2018年5月の改良で2列シート仕様を設けた。2列目の座面も長くなり、座り心地のボリュームも増して快適性を大幅に高めた。しかし、今となっては、遅きに失した印象が強い。
SX4 Sクロス「エスクードより割高で装備も乏しい」
現行SX4 Sクロスの発売は2015年2月。ハンガリー製のSUVだが、特徴が乏しく売れ行きは伸び悩んだ。
この後、同年10月にはSX4 Sクロスと共通プラットフォームを使う同じくハンガリー生産の現行エスクードも発売された。
8か月程度の時差だが、SX4 Sクロスが装着しないミリ波レーダー方式の緊急自動ブレーキと、車間距離を自動制御できるクルーズコントロール、アイドリングストップなどを備えた。
トランスミッションは、当時のSX4 Sクロスは一般的なCVTだったが、エスクードは6速AT。シートの生地も本革&スエード調で上質になった。
これらを価格に換算すると約17万円に相当するが、エスクードの価格はSX4 Sクロスと比べて8万6400円の上乗せに抑えたから、8万円ほどエスクードが割安だった。
そうなるとSX4 Sクロスも、改良で機能を向上させるだろうと期待したが、なかなか実施されない。
ようやく2017年7月に改良されたと思ったら、緊急自動ブレーキとアイドリングストップは依然として非装着。目立った改良は6速ATが加わった程度にとどまる。
加えてフロントマスクには大型のメッキグリルが装着され、期待を裏切るどころか、理解しにくい妙なSUVになってしまった。
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