■bZスモールクロスオーバーはどんなクルマ?
ではbZスモールクロスオーバーそのものをより深く掘り下げてみていくことにしたいが、残念なことに電費以外の情報については、まだほとんど発表されていない。だが、こちらの写真を見てみてほしい。
ツートーンカラーのエクステリアやボディに対するタイヤの張り出し感、ブラックアウトされたピラーからテールゲートまでの力強いデザイン、ドアの形状などbZスモールクロスオーバーそっくりだ。
実はこのクルマ、欧州で2022年から販売されているアイゴX。スタイリッシュでコンパクト、運転しやすいクルマを目指して作られたシティコンパクトクロスオーバー。ライバルはフィアットパンダ、ヒョンデ(ヒュンダイ)i10など。2021年に欧州カーオブザイヤーを受賞したヤリスと同じGA-Bプラットフォームが共用される。
1L、72馬力の小さなガソリン車ながら、オーバージエアでのソフトウェアアップデートや、ワイヤレススマホ充電、LEDヘッドライトやアンビエントライトなど、意欲的な最新装備が与えられている。
bZスモールクロスオーバーは、バッテリーEVとガソリン車という違いはあれど、見た目同様にパッケージングもアイゴXにかなり近くなるのではと予想されている。
アイゴXのサイズは全長3700mm、全幅1740mm、全高1525mm、ホイールベース2430mm。タイヤは18インチ。bZスモールクロスオーバーのサイズもかなり近いものになるだろう。
外観からわかるアイゴXとの違いは、bZ4X同様にフロント部分左右のLEDライトとその中央がブラックアウトされていることや、BEVなのでフロントグリルが不要なこと、Cd値と風切り音対策のためのフロントフードに収納されたワイパー、リアウインドウ後端にある目立たないリアドアハンドルが挙げられる。
■気になるパワートレインと価格、発売時期は?
ではBEVとしての最大の訴求点であるパワートレインはどうなるのだろうか。
トヨタはバッテリーに関しては世界中のパートナーと協働すると2019年の説明会で述べており、実際中国のBYD社とは2019年11月に合弁会社を設立している。bZスモールクロスオーバーには、そのBYDのLFPブレードバッテリーが搭載されるのではないかと噂されている。
2020年3月にBYDが発表したLFPブレードバッテリーの最大の特徴は、価格の安さと安全性だ。高価で、多くの問題を抱えたコンゴで主に生産されているコバルトは使われておらず、発火事故が多いリチウムイオン電池と異なり発熱が少なく安全性が高い。
さらに多くの充電回数に耐えられ寿命が長いうえ、コンパクトで超薄型であるなどいいことづくめだ。LFPバッテリーはかつてはエネルギー密度と低温時の性能に問題があるとされたが、電池そのものを起動時に発熱させるなどの技術革新で克服してきた。
BEVは生産時のCO2排出量を考慮すると地産地消が望ましいため、欧州をメインターゲットの一つにしたbZスモールクロスオーバーそのものも、そのバッテリーも、欧州で生産されるのが理想的。bZスモールクロスオーバーもアイゴX同様、トヨタのチェコ工場で生産されると思われる。
BYDの欧州バッテリー工場建設計画は1年前に発表されたが、詳細については聞こえてこない。ただBYD自身が開発した7シーターSUV、Tangは既にノルウェーで1000台以上売れていることを考えると、しばらくは中国からバッテリーを欧州へと輸送することになるのかもしれない。
BYD自身が生産し、ブレードバッテリーが使われているコンパクトカー、ドルフィンのバッテリー容量が30.7kWhと44.9kWhであることを考えると、bZスモールクロスオーバーのバッテリー容量も同様の30〜45kWh程度、航続可能距離は240〜360km程度と予想する。
気になるお値段だが、BYDのドルフィンのエントリーモデルの価格が補助金後で9万6800元程度、約177万円、アイゴXのエントリーモデルのイギリスでの価格が1万4795ポンド、約229万円であることを考えると、スーパーアグレッシブなプライシングで285万円ほどと予想する。日本では国からの補助金約25万〜42万円に加え、都道府県からの補助金もあり、200万円台半ばでトヨタのBEVが手に入るようになるかもしれない。
発売時期は、bZ4Xが年央にも登場ということ、レクサスの新型BEV SUVのRZのデビューが今年秋から冬であること、12月にお披露目された実車の完成度を考えると、最速2022年中か。
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