■今後のbZシリーズの展開は?
12月の説明会では、bZ4X、bZコンパクトSUV、bZスモールクロスオーバー、bZ SDN、bZラージSUVの順で豊田章男社長から紹介された。
bZコンパクトSUVについてはスタイルについてしかコメントされなかったこと、展示車を見るとまだ充電リッドがないことなどから、市販されるまでにはしばらく時間がかかるとみられる。bZラージSUVも相当時間がかかりそうだ。だがbZ SDNの展示車はかなり完成度が高く見える。
他のbZシリーズのクルマはイマドキのクロスオーバーやSUVなのに、なぜこれだけセダンなのか?そしてなぜ豊田章男社長は「お客様のファーストカーへのご期待に寄り添うミディアムサイズのセダン」とbZセダンを紹介したのか?
これらの疑問の答えは、セダン人気が高く、セダンが初めて買うクルマになり得る中国市場を意識しているから、としか筆者には考えられない。
実際、2021年12月には「BYDの電池技術を活かしたbZシリーズのセダンEVを中国に2022年後半にも投入」と一部で報じられてもいる。その報道のなかでは、トヨタ関係者から20万元、約366万円を切るような値段になるのでは、とリークされ、そしてそれを可能とするノウハウをトヨタはBVDとの合弁から学ぶ意向、と書かれている。
筆者がどうしても気になるのが、BYDのセダンHan (漢)とのスタイルの類似性だ。ウルトラCかもしれないが、バッテリーメーカーでもあり自動車メーカーでもあるBYDから、トヨタの要求する品質水準でOEM供給を受け、bZ SDNの名でHanを発売する可能性も全くゼロではないかもしれない。
というのも、経済安全保障的な問題でBYDが入っていかれない市場でも、トヨタのブランドがあれば入っていくことができ、BYDにとってもトヨタと組むメリットがある。
トヨタの観点からすると、3割近く安いコストでBEVを生産することのできるBYDとそのプラットフォームe-platform 3.0から学ぶことが大きいうえ、今後のバッテリーの安定調達を考えるとBYDに貸しを作っておきたいと考えてもおかしくないからだ。
バッテリーメーカーの生産能力が、自らの生産能力のボトルネックになる可能性があるBEV市場で、2030年に年間350万台のBEVを販売することを公約したトヨタ。
最近の地政学リスク・経済安全保障リスクの高まりや、ガソリン価格上昇による消費者の嗜好の変化を受け、トヨタのバッテリーを含む資源の調達戦略や商品展開がどう変化するかなど、彼らの動向からしばらく目が離せない。
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