空振り上等! 気合いは充分でした! 売れなかったけど痺れたクルマ6選

■デザイン命のナンちゃってSUVの草分け役「日産 ラシーン」

1994年登場の日産 ラシーン。デザインを重視したSUVの先駆けといえそうなモデルだった。SUV全盛の現在に発売したらもっと売れていた!?
1994年登場の日産 ラシーン。デザインを重視したSUVの先駆けといえそうなモデルだった。SUV全盛の現在に発売したらもっと売れていた!?

 世界に根付いたクロスオーバーSUVの先駆けとなったのが日産「ラシーン」だ。ベールを脱いだのは1993年秋の東京モーターショーである。ショーで好評だったから、1年ほどの準備期間を経て1994年12月に発売された。

 ラシーンは、サファリやテラノなどの本格派クロスカントリーSUVとは違う。メカニズムは乗用車のものを使っている。が、4WDモデルだけの設定だから、非日常の世界を手軽に味わうことができた。

 しかもデザインのセンスがいい。だから参考出品されたときから多くの人が注目し、SUVに興味を持たなかった女性やベテランまでもシビレさせた。

 ボディサイズは最新のノートとそれほど違わない。スペアタイヤを背負っているから4mを超えるが、取り外せば4mの枠のなかに収まる。全高も同様だ。ルーフレールを装備しているから高く感じるが、全高は1515mm。立体駐車場も無理なく使える高さだった。

 ただし、ホイールベースはちょっと短い。しかも日常のシーンで使い勝手がよかった。ドアはスイング式の4枚ドアで乗り降りしやすい。また、リアゲートは上下に開くツインゲートだ。荷物を積みやすいし、下側のゲートはベンチのように座ることもできる。

 プラットフォームやパワートレーンは、4代目パルサーなどの日産のFFコンパクトカーをベースに開発された。駆動方式はビスカスカップリングを用いたフルタイム4WDだ。デビュー時のパワーユニットは1.5LのGA15DE型直列4気筒DOHCだけの設定で、5速MTと4速ATが用意されていた。

 のちにバリエーションを拡大し、1.8LのSR18DE型エンジンを加えている。4WDシステムは、センターデフ+ビスカスカップリングの「アテーサ」だ。

 1998年4月に3ナンバーのワイドなラシーン・フォルザを加え、2LのSR20DE型エンジン搭載車も登場した。2000年夏まで生産が続けられ、7万台あまりがオーナーの手に渡っている。

 RAV4ほどのヒット作にはなっていない。が、インパクトは強く、デザイン命のタウンユースをメインとしたナンちゃってSUVの登場には衝撃を受けた。登場は少し早すぎたようで、もう少しあとに登場していれば、もっと売れたはずだ。

 実際、生産打ち切りから20数年後の今でも中古車を探しているファンは少なくないのである。

■高性能なFFスポーツクーペとしてのイメージを覆した衝撃作「ホンダ CR-Xデルソル」

FFスポーツクーペの傑作、CR-Xの後継として1992年に登場したホンダ CR-X デル ソル。スイッチ操作によって室内から開閉操作できる電動式ルーフを備えていた
FFスポーツクーペの傑作、CR-Xの後継として1992年に登場したホンダ CR-X デル ソル。スイッチ操作によって室内から開閉操作できる電動式ルーフを備えていた

 ホンダが送り出したFFスポーツクーペのCR-Xは傑作だった。が、1992年2月にベールを脱いだ第三世代のCR-Xは、異端だ。サブネームを「デルソル」としたCR-Xの3代目は、スポーツカーの新しい形を提案した。今につながるクーペ・カブリオレやリトラクタブル・ハードトップの先駆けだったのである。

 CR-Xデルソルは電動メタルトップを採用した2人乗りのスポーツカーで、クーペの快適性とオープンカーの爽快感を1台で手軽に味わうことができる。

 が、CR-Xは高性能なFFスポーツクーペとしてのイメージができていたから多くの人は驚いた。

 それ以上に、スポーティ派は衝撃を受けている。衝撃は、画期的なトランストップを採用していたことだ。手動タイプもあるが、主役はスイッチ操作によって室内からルーフを開け閉めできる電動式のトランストップだった。デザインは強烈な個性を放っている。ボディカラーも鮮やかなグリーンをメインに据えていた。

 パワーユニットは1.5Lと1.6Lの直列4気筒だ。フラッグシップのSiRは可変バルブタイミング&リフト機構のVTECを採用したB16A型直列4気筒DOHCを積み、リッターあたり出力は100ps/Lを超える。

 が、トランストップを採用しているため、車重は1100kgオーバーだ。上屋も重いから2代目までのCR-Xほどの軽快感は望めない。デザインも奇抜だったから販売は今一歩に終わっている。1990年代、衝撃の1台だった。

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