■スタイリングも走りも鮮烈「スバル アルシオーネSVX」
スバルが初めて送り出したワイドボディの高級4WDスペシャルティカーが「アルシオーネSVX」だ。鮮烈なデビューを飾ったのは1991年秋で、鬼才、ジョルジェット・ジウジアーロがデザインを手掛けている。
ユーノスコスモ以上に時代の先端をいく尖ったデザインだった。独創的なグラス・トゥ・グラスのラウンドキャノピーを特徴とする2ドアクーペで、フロントマスクも個性的だ。このフォルムには今でもシビレる。その反面、インテリアはオーソドックスなデザインと感じられた。
走りの実力も高い。パワーユニットは3.3LのEG33型水平対向6気筒DOHCだ。240ps/31.5kgmを発生し、トランスミッションは電子制御4速ATを組み合わせている。高回転までウルトラスムーズで、実用域のトルクも厚みがあるから扱いやすい。
駆動方式は、センターデフに電子制御LSDを組み合わせた最先端のVTD-4WDを採用した。基本的な前後のトルク配分は35:65とリア寄りの味付けだ。だが、電子制御油圧多板クラッチによって前後輪のトルク配分を50:50まで自在にコントロールする。
4WDであることを意識させない自然なハンドリングを披露し、ワインディングロードでは運転がうまくなったように感じるほど狙ったとおりに走れた。雪道でもコントローラブルだ。価格の高さだけに目が行き、販売は伸び悩んだが、シビレたスペシャルティカーだった。
■時代を先取りしたクーペとSUVのクロスオーバー4WD「三菱 ギャランスポーツ」
1992年5月、三菱は売れっ子だったギャランをモデルチェンジし、7代目を送り込んだ。初めてボディサイズを3ナンバー枠まで広げ、ふくよかなフォルムを特徴とした。
エンジンも上質なパワーフィールのV型6気筒DOHCを主役の座に据えた。排気量は2Lだが、4気筒とは比較にならないくらい滑らかだ。静粛性も高い。
フラッグシップのVR-4はインタークーラー付きターボとなる。その痛快な加速にはシビレた。また、気持ちいい加速を楽しむと燃費にもシビレたものだ。時代に先駆けてファジー制御の電子制御4速ATを設定したことことにも注目である。
駆動方式もFFとビスカスカップリング付きのフルタイム4WDがあり、主役は後者だ。7代目ギャランでシビレたのは1994年8月に登場した「ギャランスポーツ」である。当時はバブル期から続くRVブームの真っ只中だ。
ギャランスポーツは、RVRのスポーツギアがヒットしたのに気をよくしてか、フロントガードバーやルーフレールを装備し、RVルックに仕立てた。クーペ風を気取った5ドアハッチバックとは言っても、このクラスにRVテイストを持ち込むのは大胆だ。しかもリアにはスポイラーを装備している。
GTが積むのはパワフルな2Lの6A12型DOHCターボだ。滑らかだが、下のトルクは薄く、3500回転あたりから弾けるような加速を見せつける。ただし、ターボを使ってアクセルを積極的に踏み込むと燃費は一気に落ち込む。これにもシビレたね。
ハンドリングは4WDを意識させないオン・ザ・レールの気持ちいい走りだった。ギャランスポーツは、時代を先取りしたクーペとSUVのクロスオーバー4WDだ。が、ちょっと早すぎたのか、ファンは飛びつかなかった。残念な結果に終わったが、驚きの連続だったね。
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