「こんなクルマ売ってみたかった」「このクルマがあったら、超売れるのに」という声は、自社のクルマしか販売できないディーラー営業マンの本音である。常にライバルと戦っている営業マンだからこそ、ユーザー目線でライバル車の良さが分かるものだ。
元ホンダ営業マンが、このクルマがあったらユーザーとも会話がはずむ、ホンダのクルマがもっと注目されるといった考察をふまえ、うちにも欲しかったクルマ3選を紹介する。
文/木村俊之、写真/BMW、PORSCHE、TOYOTA
【画像ギャラリー】「MINI」の個性が際立つ3ドア/5ドア/コンバーチブルを写真で見る(16枚)画像ギャラリー退屈しない独創性 オシャレ代表:BMW・THE NEW MINI(2021年モデル)
このクルマに乗っているだけでオシャレな人という印象を与える代表車ミニ。独特のデザインは「かわいくて高級感のあるクルマがほしい」という女性ユーザーからの人気も高く、幅広い層から愛されている1台だ。
ミニ最大の特長は世界トップクラスのアレンジ力だ。まさに自分だけの1台に仕上げることができる。自分好みのアレンジができ、独自の高級感を損なわないことは、ミニの魅力のひとつだろう。
近年、ホンダユーザーの声を聞くと、「最近はデザインに迷走している」「モデルチェンジのたびに見た目が変わりすぎ」とデザインに対しての不評が目立つ。軽自動車販売はNシリーズが好調なだけに乗用車にも目玉となる1台が欲しいところだ。
ライバルとは似ても似つかない、個性的なクルマをライナップに揃えたい。退屈しない独創的なデザインのクルマがショールームにあれば、販売現場も華やかになる。
ミニに興味をもったユーザーには、クルマを「売る」ことはしないだろう。営業マンは、「クルマのスタイリスト」としてユーザーへアドバイスを送るに違いない。
圧倒的なステータス 憧れられるクルマ:ポルシェ・パナメーラ(2016年モデル)
「所有するだけでステータスになる。その性能は保証しますよ」と、どっしりと構えて販売をしてみたい。その1台はポルシェ・パナメーラだ。
今も昔もクルマが一種のステータスになるという見方は強いだろう。昔のように、無理をしてでもいいクルマに乗るという風習は少なくなったものの、クルマへの憧れはまだまだ根強いものがある。
高級車の人気は依然として高い。「クルマのことは、あまり詳しくない」という人に、「どんなクルマに乗りたいか(乗せて欲しいか)」を聞くと、誰でも一度は耳にしたことがある、高級車が上位にランクインする。格好良く質感の高いクルマの人気は、今も昔も変わっていないようだ。
ホンダ営業マンをしていると「走りにこだわり過ぎて、内装に予算が届いていない」「高級感があれば売りやすいのに」といった声を多く聞いていた。自身も強く思うが、ホンダには圧倒的なステータスを感じられるクルマが少ない。
パナメーラのように、どこから見てもそれとわかるデザインに、妥協のない高級感のある内装、誰もが認めるステータスを持った4ドアセダンがあることで、高級志向のユーザーへ強く訴求できるだろう。販売側もクルマに自信を持てるのは大きい。
「ホンダって高級感ないよね」と言われるのは苦しい。だから圧倒的なステータスをもつパナメーラのラインナップは譲れない。
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