アクアはやっぱり強い!! 激戦コンパクト市場で異様な存在感を放つ実力と課題

代り映えしなかったエクステリアとエンジンノイズの対策は課題

 こうした強さの反面、不足と感じるのが、エクステリアデザインと、走りの質感だ。社用車としても広く使用されてきた初代アクアのイメージを強く引き継いだエクステリアデザインは、新型アクアのネックとなっているようにも感じる。

 初代アクアでは、2度の大きなマイナーチェンジのたびに、フロントフェイスの意匠を微修正してきた。同時に、Xアーバン(2014年12月~)や、クロスオーバー(2017年6月~)などの変化球モデル追加し、常に鮮度を保つよう、手が加え続けられてきた。「飽きられる前にデザインをブラッシュアップする」ことで、長く愛されるモデルとして、君臨することができたと考えられる。

 また、エクステリアデザインだけ見れば、新世代の日産を象徴するアリア顔となった新型ノートや、スタイリッシュな顔つきから一気にかわいい顔となったホンダフィットなど、魅力的なライバルも多い。当然ながら、数年後のマイナーチェンジでテコ入れを行うと思われるが、初代アクア程のスタートダッシュ(デビュー翌年に26万6567台登録)ができなかった理由には、代わり映えしなかったデザインが影響しているのではないだろうか。

 また、やや残念だったのが、走りの質感、主に「エンジンノイズの対策」だ。高速直進性やコーナリング、乗り心地、ロードノイズに大きな不満があるわけではない。最新のプラットフォームGA-Bは、骨格結合構造の最適化を行い、超高張力鋼板を用いて軽量化と高剛性化を実現している。

 また、吸遮音材を適切に配置したことで、高速走行時の会話明瞭度は15%向上、乗車時停車中のノイズは1dB(約10%)低減した(トヨタ発表)という、進化の度合いは感じられるのだが、定常走行時と、加速時の騒音レベルのギャップが大きい。

 ワインディングのアップダウンのようなところを走ると、登坂時は相当、アクセルペダルに力を入れて頑張る必要がある。加速に必要なパワーはきちんと出てくるのだが、エンジンは常にうなりを上げている状況だ。

関東地方でも随一のワインディング、箱根ターンパイクで試乗中の新型アクア。加速時、そして下りでは、エンジンのノイズが大きめに車内に鳴り響いていた
関東地方でも随一のワインディング、箱根ターンパイクで試乗中の新型アクア。加速時、そして下りでは、エンジンのノイズが大きめに車内に鳴り響いていた

 新型アクアから採用となる「バイポーラ型ニッケル水素電池」は、約2倍のバッテリー出力を実現するというが、燃費向上の方に割り振られているため、単純に加速力が2倍になるわけではない。エンジンノイズが盛大に入ってくるのは、ちょっと期待外れであった。

 ただ、平坦な路面へと出ると、微小な風切り音程度のノイズレベルにグッと下がり、車内は無音に近い静粛性となる。この、エンジン始動・停止のノイズレベルの落差が非常に大きいことで、新型アクアは「走りの質感」を大きく損ねているように感じられ、ここはひとつの課題といえる。

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 先代アクアは、若者世代にも受け入れられてきた。プリウスからのダウンサイザーも多い。同じコンパクトカーでも、身内であるヤリスはパーソナルな活用に適したモデルであり、アクアはファミリーユースにも適したモデルだ。そしてサイズも価格も上級のプリウスと、トヨタ内ではしっかりとキャラ分けができており、トヨタ内でのつぶし合いは存在しない。

 使い勝手や低燃費、198万円(2WD、Bグレード)~の手ごろな価格など、すべてが良い方向に進化した、新型アクア。今後の動向が楽しみだ。

200万円を切るBグレードは、法人用途やレンタカー用途などに使われることが多い。実際は、上級グレードの「G」や「Z」が売れ筋となっている
200万円を切るBグレードは、法人用途やレンタカー用途などに使われることが多い。実際は、上級グレードの「G」や「Z」が売れ筋となっている
【画像ギャラリー】最強時代から最新型まで、トヨタのベストセラーモデル「アクア」のこれまでの軌跡(32枚)画像ギャラリー

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