日本市場がミニを育てた!? 90年代クラシックミニを愛でる【いのうえ・こーいちの旧車探訪】

■日本市場がミニを延命

コンパクトなボディが日本の道路事情に適していたという理由もあり、日本での人気は特筆すべきものがあった
コンパクトなボディが日本の道路事情に適していたという理由もあり、日本での人気は特筆すべきものがあった

 日本におけるミニの人気は特別なものがある。コンパクトなボディ、可愛さの漂うスタイリング、それにキビキビとした走り振りは、趣味と実益の両方を賄えるクルマとして、長く人気を保ってきた。

 1989年9月に現地法人である「ローバー・ジャパン」が発足すると、広く一般にまで浸透し、毎年10000台もが輸入される異色の存在になっていた。

 考えてみれば、もともとはその当時でさえすでに誕生から30年も経過したクルマだ。いくら「革新の…」といっても、すべてがクラシカルなメカニズムに終始していた。逆にそれが、ミニの独特の雰囲気をつくっていて魅力になっていたのではあるが。

 先のインジェクション導入も、実は日本市場のリクエストによる部分が大きかった、という。

 つまり、クーラー必須の日本市場で、クーラー装着時の、エンジン・コントロールなどを考えたら、インジェクションの利点が大きかった。これにより、ミニ・クーパー1.3i(4段MT)が62PS、その他のモデルは53PSでラインアップされた。

 遅れて本国仕様もインジェクションが導入されるが、それは日本仕様とは異なる「MPI(マルチポイント・インジェクション)」というもので、同時にラジエータ搭載位置が前向きに変更になったことで識別できる。

 この頃、1994年にはローバー・グループはBMWに買収され、その下でミニは生産がつづけられる。ローバーのエンブレムに代わって、ミニ独自の「ウイング・エンブレム」になったのは、この少しのちである。

■限定モデルの数々

 話が少し前後するが、1990年代のミニの大きな特徴のひとつに「特別仕様車」のオンパレード、というのがある。順にまとめてみよう。

1994年6月:ミニ「35thアニヴァーサリー」 1000台限定
   8月:クーパー1.3iオートマティック 300台限定
   11月:ミニ・クーパー1.3i「モンテカルロ記念限定車」 1000台限定
1995年7月:ミニ・タータン 2000台限定
1996年6月:ミニ・クーパー「35thアニヴァーサリー」 グリーン 2500台限定
1998年1月:ミニ・クーパー「スポーツ・リミテド」600台限定
   6月:ポール・スミス・ミニ 1500台限定
   8月:ミニ・クーパー「BSCCリミテド」 750台限定
1999年6月:ミニ「40thアニヴァーサリー」 800台限定
   9月:ミニ・クーパー「40thアニヴァーサリー・リミテド」1000台限定

 といった具合である。この間、1997年にはエアバックなど安全基準を向上させたマイナーチェンジ(これがMk-X)を受けた。

 一方では1997年秋に新型ミニのプロトタイプが発表されるなど、着実にBMWミニの開発が進められ、まだまだ人気はあったにもかかわらずクラシック・ミニは2000年10月でフェードアウトした。

【著者について】
いのうえ・こーいち
岡山県生まれ、東京育ち。幼少の頃よりのりものに大きな興味を持ち、鉄道は趣味として楽しみつつ、クルマ雑誌、書籍の制作を中心に執筆活動、撮影活動をつづける。近年は鉄道関係の著作も多く、月刊「鉄道模型趣味」誌ほかに連載中。季刊「自動車趣味人」主宰。日本写真家協会会員(JPS)

【画像ギャラリー】日本でそして世界で愛されたクラシックミニと本家BMWが推進するクラシックミニEV化プロジェクト(9枚)画像ギャラリー

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