残念ながら、生き残り続ける意味はない
高級セダンが憧れの的であった時代は、大きなボディサイズ、質感の高い内外装、ゆとりのパワー、静粛性、快適な乗り心地、先進的な装備の数々、という基本的な要素があればよかった。今より規制が厳しくなかったため、大排気量で燃費が悪いのも、ある意味、ステータスの一つになり得た。
ところが今は時代が違う。クルマは厳しい環境規制に対応しなければならず、高い安全性能も求められる。「排気量」というわかりやすいヒエラルキーは徐々に薄れており、ユーザーは地球の未来を意識しつつ、多様化するライフスタイルのあらゆる面に注意を向けながら、価値あるところにお金を使う。
これらを踏まえると、フーガの存在はかなり厳しいといわざるを得ない。フーガは「高級スポーティセダン」という位置づけではあるが、スポーツカーを買いたい人が狙うモデルでもないし、スカイラインセダンとの棲み分けも曖昧だ。ロングドライブで快適なクルマが欲しいなら、今ならセダンでなくても選択肢は豊富にある。
「クルマは大排気量の内燃機関エンジンを搭載したセダンでなければならない」という人もいるだろうが、そんなに多くないことは今のセダンの販売状況を見ると明らかだ。今後フーガが内燃機関エンジンで全面刷新したとしても、好調な販売を期待することはできないだろう。
さらに、ここまで販売数が落ちてしまったら、もはやブランド力もほぼゼロに等しく、残念ながらフーガには、今後も生き残り続ける意味がないといわざるを得ない。
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次期型フーガが今のままの形式でモデルチェンジする可能性は、ないに等しい。筆者は、「フーガ」ブランドは終わりにして、「アリア」をベースにした「ラグジュアリーEVセダン」を、日産のかつてのフラッグシップセダン「プレジデント」として登場させるのが、日産の高級セダンが生き残るための唯一の方法だと考えている。法人需要はいまだにあるフーガとしては、この道しか残されていないのでは無いだろうか。
セドリック/グロリアの系譜を継ぐドライバーズカーとして、デビューは華々しかったフーガ。モデル更新が行われず無様な状況のまま放置されているが、フーガを思うならば、日産にはせめてなるべく早く、「決断」をしてほしい。
【画像ギャラリー】セドリック/グロリアの系譜を継ぐドライバーズカー 日産「フーガ」の初代モデルと現行2代目モデル(33枚)画像ギャラリー
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