■3列目は生産終了したオデッセイが快適
一方、Lサイズミニバンではアルファードの人気が突出して高く、3列目の足元空間も、取り上げた5車種の中では最も広い。ただし3列目の座り心地はいま一歩だ。床と座面の間隔が不足して、足を前方へ投げ出す座り方になる。3列目は格納する機能を重視したから、座り心地もいまひとつ柔軟性に欠ける。
むしろ3列目は、生産終了したオデッセイが快適だ。足元空間はアルファードよりも狭いが、床と座面の間隔に余裕があり、座り心地も相応に柔軟になるからだ。
したがって居住性を総合的に判断すると、取り上げた5車種では、オデッセイがベストになる。オデッセイのセパレートタイプの2列目には、プレミアムクレードルシートも装着した。クレードルとは「ゆりかご」の意味で、乗員の体をスッポリと優しく包み込む。
それなのにオデッセイが生産を終えた背景には、アルファードの高人気もある。アルファードの3列目は、前述のように座り心地がいま一歩だが、車両のイメージとしては快適性のNO.1だ。
しかもウェブサイトやカタログを見ると、内装が一番豪華で、両側に固定式のアームレストを備えたエグゼクティブパワーシートやエグゼクティブラウンジシートが目を引く。エアラインのビジネスクラスのような雰囲気だ。
それでも実際に座ると、印象が少し異なる。座面の前側が大きめに持ち上がり、腰の落ち込んだ座り方になるからだ。小柄な乗員は、膝の裏側を押された感覚になりやすい。
エグゼクティブパワーシートやエグゼクティブラウンジシートは、乗員の体格や好みによって評価が分かれ、ベーシックなセパレートタイプのリラックスキャプテンシート、あるいは8人乗りのベンチシートがしなやかに感じることもある。
そこでアルファードを買う時は、いろいろな2列目シートを比べたい。ライバル車のオデッセイも加えて2/3列目の両方を比較すると、さらに客観的にアルファードのシートを評価できる。見栄えが良いから快適とは限らないことに注意したい。
以上のように2/3列目シートを総合的に評価すると、1位はオデッセイだ。2位はステップワゴンとアルファードが横並びという印象。僅差でセレナとヴォクシー&ノアが続く。
■ヴォクシー&ノアの注意点
ヴォクシー&ノアは、前述のように足元空間では最下位だが、床と座面の間隔を見直して、3列目は座り心地も向上させた。居住性には、各車ともに一長一短があるから、差が付きにくい。
選ぶ時の注意点として、ノーマルエンジン車とハイブリッドの違いもある。ミニバンのハイブリッドでは、駆動用電池が1列目シートの下側に搭載されることが多く、2列目に座る乗員の足が収まりにくい。
3列目を使わない時は、2列目を後方にスライドさせて足元空間を広げれば済むが、これでは多人数乗車時に3列目が窮屈になってしまう。3列目を使う時は、2列目に座る乗員の膝先空間を前述の握りコブシ2つ程度に詰めねばならない。
そうなると1列目の下側に足が収まりやすいか否かにより、2列目の居住性が大きく変わる。
特に注意したい車種は、ヴォクシー&ノアハイブリッドとセレナe-POWERだ。両車ともに1列目の下側が駆動用電池で塞がり、2列目に座った乗員の足が収まりにくい。
その点でステップワゴンのe:HEVは、ヴォクシー&ノアやセレナに比べると、駆動用電池による1列目の下側の塞がりが小さい。3列目の足元空間を広げるため、2列目の膝先を握りコブシ2つ分まで詰めても、さほど窮屈には感じない。ツマ先が少し持ち上がる程度だ。
従ってハイブリッドでは、ステップワゴンの評価が高く、ヴォクシー&ノアとセレナは一層下がってしまう。
ヴォクシー&ノアは、新型になってハイブリッドとノーマルエンジンの価格差を35万円に抑えた。しかもハイブリッドは購入時に納める税額が約13万円安いから、実質差額は22万円に縮まる。
レギュラーガソリン価格が160円/Lとすれば、約6万kmを走ると22万円の実質価格差を取り戻せるから、ハイブリッドが買い得度だ。それだけに先に述べたように、ハイブリッドを選ぶ時は、2列目シートの居住性に注意したい。
ステップワゴンとヴォクシー&ノアを新型同士で比べると、総合的にはヴォクシー&ノアが有利だが、居住性を重視する場合はステップワゴンを選ぶ余地もある。
ミニバンはどれも似通ったクルマと見られやすいが、実際には用途や好みに応じて選べるバリエーションが展開されている。購入時には、候補車種を決めて販売店に出かけ、試乗車を乗り比べたうえで選ぶと良いだろう。
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