「ドライバーの声は神の声」R34スカイラインGT-R開発秘話【日本自動車界の至宝GT-R三代(3)】

最終モデルのニュルは自分がやりたかったGT-Rの姿

タイミングが合えばR34GT-RはV型6気筒エンジンを搭載していた?!
最終モデルとなったVスペックIIニュル

 あとR34でやりたかったけれどできなかったのは、仲の良かったエンジンの工場長に行き話したのが、ラッピング(ポート研磨)しろと。昔ラリーをやっていてL16という重たいエンジンをパワーがでないのを街工場に持っていったらキレイにポートを研磨してくれて段座を撮ってくれて、あのL16がキレイに7000回転まで廻ったからだそうだ。

 それで当時の工場長にポート研磨をやってくれといったら、全数は無理。台数限定なら。台数限定は絶対しない。投機的なことはしない。

 これはスカイライングループで言い伝えですけど6代目でご迷惑をお掛けした、2LDOHC、2LDOHCターボ、2Lインタークーラーターボを連続して発売し、お客様から叱責されました。いつ買えば良いのかと。そういうことが骨身にしみて、投機的な対象は止めようということで諦めました。

 でも田村宏志さんが最後にニュルとかいってやりましたね。それはそれでいいですけど。うまくつかってくれたと思っています。

 R34はこだわったのは、弱点といわれた当時の空力で床下ダウンフォースを出すということで、カーボンのリアディフューザーを付けた。これは水野和敏さんにうまくだまされた。

 安くできるといわれたのに約100万円。量産効果で下がるというけど下がるわけがない。商品本部長からこんな高いパーツ付けて、ベニヤでヤレといわれたから。ベリヤでやったら、火事になりますよと言い返した。とにかくカーボンは欲しかった。カーボンコンポジット、ドライカーボンでなくても良かったと言う。

 当時そんなにカーボンが普及してなかったから、ドライカーボンにして、僕が卒業した後でも、どこかにいって装着させますからと空約束して。でもこれはニュルにいって加藤博義さんがクルマに乗って、R32、R33は必ず徹夜でしたけどR34すぐに走れた。

 ダウンフォースのためにディフューザーを付けた。床下も整流されているから非常に静か。乗り心地が良い、ダンピングが抑えられる。どれだけ効果があったかわからないが、ホイールハウスの前に穴を開けさせた。バンパーにえぐりを付けてブレーキの熱を吸い出させた。そうやってブレーキの冷却性能を向上させた。

 ポルシェも空冷と水冷どちらが好きかと聞かれたら、水冷のほうが良いと思うけど空冷が好きだと言われることが多い。当時、最良のスカイラインはR34ですけれど、好きなのはR32といわれたら、仕方ないこと。

 R32があってR33、R34と進化してきたので、R33なしではありえない。また、10年後に作れば良いじゃない。とか言われますけど。あの16年間のR32を生み出すのに参画した私として、もうあんな苦労はできないだろうと思ったから、継続は力だと思っている

 そして、唯一役立ったのは伊藤修令さんの言った「ドライバーの声は神の声」ということ。職位に関係なく、彼らの言葉を一番評価した。R32が終わった後、N1に出場し、ロールバーを付けてボディ剛性を高めたりしたことは、R33、R34の開発に役立ったと思う。

 最新のスカイラインはプロパイロット2.0を積んでいますけれど、自動運転が進めば進むほどクルマの基本性能が問われると思う。加藤博義さんの運転する車に乗って、最高の褒め言葉は違和感がないと言うこと。彼に対して。

 新幹線に乗って印象に残ってない。それが一番良い。印象に残る運転なんかしてはダメ。だから何もできない状況で違和感があったらとんでもない。そういう違和感がないクルマに仕上げることが最も大切。

 中古車の値段が上がっていることに関してはフェラーリとスカイラインGT-Rだけだと言われている。ある意味勲章ともいえるかもしれませんがでも本来はクルマが投資の対象になるのはいいことなのかなというのはあるという。

 一番高値で売りたいと思わなくはないけれどもそれだけ高く評価してくれるのは嬉しいし、ありがたいことではありますけれど、本当はクルマってそういうモノなのかなというのはあるという。

 本当に欲しいという人に届かなくなっている。R32~R34のお客さんは高齢化、パーツの問題だからR35が増えてきたよ。という話になりますけれどスカイラインGT-Rを支持してくれるのはありがたいと話す。

 スカイラインGT-Rを開発している頃は280ps規制があった。そして標準車のスカイラインあってのスカイラインGT-Rだった。

 R34に関して付け加えておきたいのが、R34スカイラインの発表の時に書いた言葉がある。それはフロントミッドができなかったことで、フロアは継続したということで、開き直って味は三代。R32から3世代続いたことで、グルメの人も満足できるクルマができたという自画自賛だが、そういった思いで広告代理店に調べてもらった。

 絵画は1代、本人の才能、音楽は2代。環境が影響する。そして味というのは3代つづいてはじめてわかる微妙なもの。それがグルメな走り屋に納得してもらえるようになったと思っていると締めてくれた。

【画像ギャラリー】第2世代スカイラインGT-R。R34型スカイラインGT-Rを画像で紹介(7枚)画像ギャラリー

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