「なくなって初めてその大切さに気づく」、なんていう言い方があるが、世界的な環境規制の波に押され、徐々にその居場所を失いつつある純エンジン車は、いずれその代名詞のようになってしまうのかもしれない。
ここでは自動車評論家 片岡英明氏に「1メーカー1台」の縛りのもと、長い純エンジン車の歴史のなかから「これは!」と心震わせた8台を上げてもらった。
※本稿は2021年3月のものです
文/片岡英明 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年4月10日号
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■各メーカーの衝撃を受けた純エンジン車たち
自動車の世界に電動化の波が押し寄せてきた。
こういう時代だからこそ、軽量ボディを武器に操る楽しさに満ち、サウンドも心地よい純エンジン車の魅力が再確認できる。
●トヨタ&レクサス GS F(2015年登場)
トヨタで衝撃を受けたクルマは、限定発売されたLFAを除けばレクサスのGS Fが一番だ。
5LのV8DOHCエンジンの滑らかさと上質なパワーフィール、そして音色もいい。
また、トルクベクタリングやトーコントロールの採用による気持ちいいハンドリングも魅力に挙げられる。
ボディの大きさを感じさせないし、サーキットを走っても痛快だ。
●日産 R34スカイラインGT-R(1999年登場)
日産ではR34型スカイラインGT-Rに魅了された。R32型からの正常進化モデルだが、絶大な安心感があり、操る楽しさは格別だ。
意のままに気持ちいい走りを満喫できる。現行のGT-Rが重いと感じられるほど軽やかなフットワークを見せ、ワインディングを走らせた時の達成感はメチャ高い。
高回転まで回した時のストレート6の官能的なエンジン音にも感激だ。
●ホンダ 初代NSXタイプR(1992年登場)
ホンダで衝撃を受けたのは初代NSXである。
なかでもレーシングテクノロジーを結集し、ドライビングプレジャーを徹底的に追求した「タイプR」は刺激的だった。
軽量なNSXを極限までダイエットし、120kgもの軽量化に成功している。
それでいてサスペンションなども手直ししたから切れ味鋭い身のこなしを見せるようになる。
心臓を3.2LのC32B型V6DOHC・VTECに換装し、6速MTへと進化させた第2世代のタイプRは、さらにワクワクする走りを実現した。
この気持ちよさは、電動化に4WDを採用した今のNSXにはない魅力と言える。
●マツダ FD3S型RX-7(1991年登場)
マツダで衝撃を受けたスポーツモデルはロータリーエンジンを搭載したRX-7だ。
最後の作品となった3代目のFD3S型RX-7は、スタイリッシュなルックスに加え、走りも素晴らしい。
シーケンシャルツインターボで武装した13B型ロータリーはパワフルで、高回転まで一気に回りきる。
徹底して軽量化し、重量配分にもこだわったから、人馬一体の走りを存分に楽しめた。
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