最近増えてきた流れるウインカー 後付けは違法にはならないのか?

■モデルチェンジ後に不採用にする例も

レクサスブランドで「LEDシーケンシャルターンシグナルランプ」を最も早く採用したのは2015年8月に発売されたLX
レクサスブランドで「LEDシーケンシャルターンシグナルランプ」を最も早く採用したのは2015年8月に発売されたLX

 例えばレクサスLX。先ほど書いたように、レクサスで初めて流れるウインカーが採用されたが、直近のLX600へのモデルチェンジでは不採用となった。

 同様に、「新世代」レクサスとされるNXでも、モデルチェンジで流れるウインカーは不採用となっている。

 いずれのモデルも、フロント・リアのコンビネーションランプ形状がモデルチェンジ前後で大きく変わったわけではないので、デザイン上採用したかったけれどできなかった、のではなく、今回あえて採用しなかった、ということだと思われる。

 流れるウインカーは、クルマの中央部分から側方に左右に向かってあたかも光が流れていくように見え、どちらに曲がるかというクルマの次の動きを周囲が理解しやすくて安全性が高まる、という「安全性」があるのが当初の売り文句の一つだった。

 だが、ウインカーがただ点滅するだけではどちらにクルマが曲がるがすぐわからなくて、光って流れないと困る、という認知レベルの歩行者やドライバーにばかり囲まれて運転している、という状況はあまり現実的ではないだろう。

 だからやはり、安全性というよりは「見た目」のための装備。シーケンシャルに点灯させるのには大したコストがかからないことを考えると、それぞれのクルマごとに「カッコよく/高級感があるように見えれば採用、そう感じられなければ不採用」という世界なのだと思われる。

 ウインカーの光が流れるとカッコよくて高級感がある、と全ての人が感じるわけではなく、また逆に全ての人が流れるウインカーはダサい、と感じるわけでもない、ということだろう。

 その証拠と言ってはなんだが、もうすぐ発売になるホンダステップワゴンの「お上品バージョン」のほう、「AIR」に、今回新たに採用されてもいる。

新型ステップワゴンの「上品系」AIRと「オラオラ系」SPADAのうち、流れるウインカーはAIRのみに採用される模様
新型ステップワゴンの「上品系」AIRと「オラオラ系」SPADAのうち、流れるウインカーはAIRのみに採用される模様

■日産のデザイナーは実は流れるウインカーが好き?

最新の日産車であるノートオーラやアリアでは流れるウインカーが採用されていることから、最近の日産のデザイナーは流れるウインカー好きの人がいるのではないかと筆者は睨んでいる
最新の日産車であるノートオーラやアリアでは流れるウインカーが採用されていることから、最近の日産のデザイナーは流れるウインカー好きの人がいるのではないかと筆者は睨んでいる

 一部では「流れるウインカーはダサくてオワコン、常時点灯しているデイライトの白色光が、右左折する時にオレンジ色のウインカーとして片側だけ点滅し、反対側はデイライトのまま、というダブルファンクションのウインカーがイマドキのスタイル」という声もある。

 だが最近では、「常時点灯のデイライトが右左折する際、流れるウインカーに変化する」パターン、つまり先ほどの「最新トレンド」と流れるウインカーの両方を組み合わせたクルマも出てきている。

 具体的には日産の最新のクルマ、ノートオーラやBEVのアリアなどが、流れるウインカーを最新のトレンドの中に組み込んでいる。

 両車ともフロントターンランプは長くて「へ」の字型をしており、車両中央に近い半分が固定点滅式、残りの半分だけ流れるというハイブリッド式。アリアのリアは流れるが、オーラはリアウインカーの長さが短いせいで、通常の点滅タイプとなっている。短すぎたら流れる意味がないですからね。

 また輸入車でも、流れるLEDウインカーを最初に流行らせたアウディや、ランドローバーなどがハイブリッド式を採用している。だから「流れるウインカー=オワコン」、というわけでもないようだ。

 実は、最近の日産のデザイナーには、密かにシーケンシャル推し、流れるウインカー好きの人がいるのではないかと筆者は睨んでいる。

 こちらをご覧いただこう。ノートオーラとアリアにオプション装着が可能な、流れるウインカーが光るドアミラーだ。

これまで法律・規制上ドアミラーウインカーは「流れる」ことができなかったが、日産はなんと規制対応のものを作ってしまった
これまで法律・規制上ドアミラーウインカーは「流れる」ことができなかったが、日産はなんと規制対応のものを作ってしまった

 2014年10月に、流れるウインカーが日本国内の規制で初めて認められた時、流れるウインカーの装着は「前後のみ」に限られる、と明記されていた。つまり、ドアミラーウインカーはシーケンシャルが認められない、ということだった。

 だからこれまでは、「流れるドアミラーウインカーはNG」、というのが常識だった。日産は、その常識をわざわざ創意工夫によって破ってきて、ドアミラーウインカーの「流れる化」に成功している。「どんだけ流れるウインカー好きなんだよ」、と筆者はついツッコミを入れたくなった。

 日産の外装オプションHPでの説明によると、「流れるようなウインカーランプと側面方向指示器の点灯モードを、車両標準のウインカーの点灯モードに同期させることで法規に対応」させた、とのことだ。

 よく見てみると、ドアミラーウインカーの一番外側の数センチだけ通常の点滅式となっており、それ以外の部分は流れるウインカーになっていて、こちらもフロントウインカー同様ハイブリッド方式。ドラミラーウインカーの一部だけ通常の点滅式にし、他のウインカーの点灯モードに同期させるという「コロンブスの卵」で、規制をクリアしたようだ。

 流れるLEDウインカーを世界的に流行らせたのはアウディで、2009年に日本に初めて導入したのもアウディ。クルマの解錠・施錠時にウインカーだけでなくフロント・リアコンビネーションライトもダイナミックに動かすぐらい「流れる」好きなアウディだが、ドアミラーウインカーまでは流れさせていない。

 それを考えると、日産の「流れる」好きはかなり気合が入っていると言っていいだろう。

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