ギラギラ顔vsプレーン顔! 顔つきで選ぶボックスタイプミニバンのねらい方


■向こう5年くらいはギラギラ顔優勢?

 このように、個人レベルにおいては「どっちでもお好きなほうをお選びください」という話にしかならないわけだが、もう少しマクロに物事を見た場合には、どういうことが言えるのだろうか?

 すなわち、今後のミニバンは新型ヴォクシーに代表されるような「超獣系ギラギラ顔」がマーケットを完全に席巻するのか? それとも、新型ホンダステップワゴンに代表される「プレーン顔」も、今後はそれなりに増えていくのだろうか?

 もちろん未来のことを100%正確に予想することなどできない。特に、長期スパンでの予測は難しい。だが向こう5年間ほどの短期目線で考えるのであれば、「相変わらず超獣系ギラギラ顔が市場を席巻することになるだろう」と筆者は読んでいる。

■ギラギラ顔は、今まで売れていた

 そう考える理由のひとつは「直近の実績」である。

 昨年1年間の販売台数データから、一番わかりやすい検体である「ギラギラ顔の旧ヴォクシー」と「プレーン顔の旧ノア」の対比を抽出してみると、ギラギラの旧ヴォクシーが7万85台で、プレーン顔の旧ノアは4万4211台。要するに旧ヴォクシーのほうが1.6倍近く売れたということであり、「市場はそれ=ギラギラ顔を選んだ」ということでもある。

 個人的にいろいろ思う部分はあるが、結局のところ「いい製品」とは「売れる製品」のことなのだ。多くの人がギラギラ顔を求めるのであれば、企業としては――趣味で会社を経営しているわけではないので――いい製品=よく売れるギラギラ顔のミニバンを作るしかないのだ。

■世界情勢が不安定になると・・・?

 そして「今後5年ほどは超獣系ギラギラ顔が市場を席巻することになるだろう」と考える第2の理由は「世相」である。

 ご存じのとおり、海の向こうでは不幸にして理不尽な侵略戦争が始まっており(2022年4月6日現在)、日本国内でも、理不尽な通り魔事件などが後を絶たない。そしてちょっと前までは、これまた理不尽な「あおり運転に端を発する不幸な事件」も頻発していた。

 こういった世相のなかでは、人はどうしても「自衛」に走る。自衛力とは要するに武力であるというか、「武力に基づく抑止力」である。

 そうなると、家族の命を預かるお父さんとしては、仮にピースフルな顔つきのミニバンが本当は好きだったとしても、いかにも「抑止力」がありそうな顔つきのミニバンを選びたくなるのが人情というものだ。

■残念な話

 こういった選択は、意識的に行われる場合と無意識に行われる場合とがあるが、いずれにせよ現在の世相は「いかにもピースフルでオープンマインドな感じのファミリーカー」を選ぶのを躊躇させるものがある。

 その結果として現在のデザイントレンドは、例えばクルマ以上に単価が高い買い物である「住宅」においても、高い壁で住居を覆う「要塞型」が主流となっているのだ。

 そういった各ジャンルのトレンドを見るにつけ、Lサイズミニバンや売れ筋5ナンバー級ミニバンは当然として、その下のトヨタシエンタくらいのクラスにおいても、ミニバンの顔つきはまだしばらくの間、「ギラギラ系」が主たるトレンドであり続けるだろう――という答えにしかならない。残念な話ではあるのだが。


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