王者アルファードもなし! ミニバンの回転対座シートが廃れたワケとは!?


 かつてのミニバンといえば新幹線のようなシートが回転する機能が当たり前のように装備されていた。だが、今新車で買えるミニバンで採用しているのは0。完全に姿を消してしまっている。その代わりにオットマンや折りたたみテーブルといった超快適な機能が台頭しつつあるが、そもそも回転対座シートが廃れてしまった理由とは何なのか!?

文:青山尚暉/写真:トヨタ・日産・三菱

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まるで新幹線! かつてミニバンといえば回転対座シートがキホンだった

 2022年はミニバンの当たり年だ。というのも、すでにトヨタ新型ノア&ヴォクシーが発売され、販売絶好調なのに続き、5月にはホンダ新型ステップワゴンが登場。さらに年内には日産セレナもフルモデルチェンジされる予定だ。つまり、ファミリーカーの主役となるMクラスボックス型ミニバン主要3車が一気に新しくなる年なのである。

ミニバンの王者「アルファード」ですら初代限りで回転対座シートの採用を取りやめに。その代わりにオットマンなど新たな快適装備で勝負を仕掛けたのだ

 ところで、そんなボックス型ミニバンにかつて新幹線の座席のような、2/3列目席対座シートがあったことを覚えいてるだろうか。振り返ってみると、トヨタ初代アルファード、ホンダエリシオン、3代目ステップワゴン、初代、2代目日産エルグランド、三菱デリカ。そしてミニバンとはちょっと違うものの、ハイエースワゴンにも回転対座が用意されていたのだ。エルグランドに至っては、回転対座シートとともにセンターテーブルまで用意され、まさに車内が移動するリビングルームのようにも使えたのである。もっとも、回転対座シートは標準装備というより、オプション扱いが基本だったと記憶している。

じつは使用頻度が超低い!? 大人同士だと超窮屈に

 ミニバンの回転対座シートが用意されていた時代を振り返ると、それはミニバンが普及し始める頃ということになるのだが、その時点ではミニバンならではの車内空間を利用した、家族を喜ばせるちょっとしたセールスポイントだったということになる。

 かつて回転対座シートを注文したユーザーは、最初は嬉しくて使っていたはすだが、すぐに様々な問題点から、ほとんど使わなくなっていった……と、つい最近新型ミニバンの取材で雑談した自動車メーカーの開発陣が教えてくれたのである。

2代目ステップワゴンは2列目シートの背面をデスクとして使用することができるなど、さまざまな使い方ができたのだ。確かにこの機能が欲しくなるのも納得である

 その理由はまず、いかに大空間なミニバンでも、ワンボックスカーとは違い、ファミリーユースに相応しい、扱いやすさを考慮した全長、ホイールベースあることから、室内長にも限界があるということ。2/3列目席を対座させたとき、2座の空間は向かい合って座る乗員の膝が触れあってしまうようなスペースしか取れず、対座する楽しさはあっても、大人同士の場合、膝頭が交差するような、けっこう窮屈な乗車感になるからだ。それに、車内で2列目席を回転させる作業も、けっこうしんどかったりする。

後ろ向き乗車に待った! 乗り心地と安全性がイマイチ……

 次に、ミニバンの特等席であるはずの2列目席が進行方向に対して後ろ向きで、車種によっては補助席的なシート、かけ心地となる3列目席が、よりドライブを楽しみやすい前向きという、優劣逆転のシートレイアウトになってしまう点だ。しかも、後ろ向きに座ると車酔いの心配も出てきてしまう。

 ここで想像してみてほしい。新幹線に上司2人と部下2人の4人が乗るとして、酒宴!? のために進行方向に向って前の2席を回転させる場面で、回転させ、後ろ向きに座るのは上司か、部下か? これはもう、部下に決まっているではないか(多分)。

 ミニバンが普及し始めた当時から存在していたデメリットに加え、安全性能が一段と重視される近年では、衝突事故などの際の乗員の安全について、やはり後ろ向きに座るのは好ましくないのだ。後ろ向きシートのシートベルトの安全性を担保するには、前方からの衝撃をシートバック、ヘッドレストでも受けとめられる前向きのシートに比べ、コストがかかり、商品企画として一気に後退していったとも考えられるのだ(当時とは安全基準、安全への考え方が大きく異なる)。

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