後ろ向き乗車に待った! 乗り心地と安全性がイマイチ……
次に、ミニバンの特等席であるはずの2列目席が進行方向に対して後ろ向きで、車種によっては補助席的なシート、かけ心地となる3列目席が、よりドライブを楽しみやすい前向きという、優劣逆転のシートレイアウトになってしまう点だ。しかも、後ろ向きに座ると車酔いの心配も出てきてしまう。
ここで想像してみてほしい。新幹線に上司2人と部下2人の4人が乗るとして、酒宴!? のために進行方向に向って前の2席を回転させる場面で、回転させ、後ろ向きに座るのは上司か、部下か? これはもう、部下に決まっているではないか(多分)。
ミニバンが普及し始めた当時から存在していたデメリットに加え、安全性能が一段と重視される近年では、衝突事故などの際の乗員の安全について、やはり後ろ向きに座るのは好ましくないのだ。後ろ向きシートのシートベルトの安全性を担保するには、前方からの衝撃をシートバック、ヘッドレストでも受けとめられる前向きのシートに比べ、コストがかかり、商品企画として一気に後退していったとも考えられるのだ(当時とは安全基準、安全への考え方が大きく異なる)。
回転シートは重量物! 燃費低下の原因に
また、シートを回転させるための機能を盛り込むと、シート単体の重量が増えて燃費に不利となる。シートの取り付け部剛性にも影響し、それを克服するためにはシートはさらに重くなり、贅沢な居心地感の演出のための2列目席ロングスライド機構がユーザーニーズとして不可欠ともなっていることで、取り付け部剛性の確保は一段と難しくなってしまうのだ。
もし、シートの取り付け部剛性が不足すれば、走行中のシート振動も気になり、快適性に大きく影響してしまうこともあるというわけだ。オプション扱いで、コストがかかり、それほどの需要が見込めないのであれば、そこまで苦労してまで回転対座シートを用意するまでもない……と、自動車メーカーのミニバン開発部門が判断しても決しておかしくないということだ。
今やオットマンがミニバンのキモ! 回転シート活躍の場はアウトドアくらいか!?
それに、新型ノア&ヴォクシーにしても、新型ステップワゴンにしても、2列目席にこれまでなかったオットマンなどを取り入れ、シートも一段と大きく豪華になっているのがトレンドだ。となれば、スペースの問題から回転させることそのものが不可能になるとも考えられる。
とはいえ、アウトドアブームの昨今、走行中ではなく、アウトドアフィールドに着いてから、停車状態で車内をリビングルーム化したいという要望はあるはずで、限られた回転対座スペースであっても、両親と子ども2~3人であれば、回転対座シート付きのミニバンの車内は、それなりに楽しめる空間になり得るのも事実。
今では、国産ミニバンの回転対座シートは中古車で手に入れるしかないものの、アウトドアに限れば、アリな選択とも言えるだろう。ただし、その時代のミニバンの回転対座シートを使う場合は、安全のために停車時に限り、使うようにしてほしい。
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