真っ平で広大な空間を演出。「フルフラットシート」はなぜ減っている?
ミニバンを筆頭とするカテゴリーでは、前後のシートを倒して連結させられるフルフラットシートを採用しているモデルが多数存在。なかには1列目~3列目まで繋げた状態でフラット化できるミニバンもあったほとだ。
しかし、今ではフルフラットシートが可能なモデル自体も減っているほか、フルフラットと言っても、シートに凸凹が多く、平らにならないモデルも多い。
一世を風靡したフルフラットシートはなぜ減ったのか?
文/渡辺陽一郎 写真/HONDA、TOYOTA、NISSAN
【画像ギャラリー】車内に出現する広大な空間!! 減りゆくフルフラット&回転対座シート
■かつてはオールフラットも!! フルフラットシートの隆盛
かつてのミニバンには「フルフラットシート」というアレンジが多かった。2列目と3列目、1~3列目など、複数のシートをリクライニングして連結させ、車内をベッドのように使えるものだ。2列シート車でも、前後のシートを繋げてフルフラットシートにできる車種があった。
フルフラットシートの発祥は、ミニバンの前身とされる商用車をベースにしたワンボックスワゴンに遡る。ノアの前身とされる1971年に発売された初代ライトエースワゴン、1976年の初代タウンエースワゴンには、それぞれ2/3列目をリクライニングして連結させるフルフラットシートが用意されていた。
1985年に発売された2代目ライトエースには、世界初の装備として、3ウェイ回転シートも採用された。2列目を通常の前向き、サイドウインドウに向かって座る横向き、3列目と対座させる後ろ向きの3段階に固定できる。1980年代には、フルフラットシートと回転対座シートが定番のアレンジとして定着した。
ライトエースとタウンエースは、1996年にライトエースノア/タウンエースノアに発展している。ワンボックスボディを脱して、エンジンをボンネットの下に搭載するミニバンスタイルになり、運転感覚も自然な印象に変わった。
この世代でもフルフラットシートと回転対座シートは採用を続けた。フルフラットシートは、3列すべてをリクライニングさせて連結できる「オールフラット」が特徴だ。この時代には、3列のシートをすべて連結できるミニバンも珍しくなかった。
2001年に登場した2代目も同様のシートアレンジを備えたが、オールフラットは見られない。2列のシートをリクライニングさせて連結させる方式になった。
ステップワゴンも、ノア系3姉妹車と同じく1/2列目、2/3列目の連結は可能だが、3列をすべて繋げる機能はない。回転対座シートも見られない。セレナのシートアレンジも、2/3列目のフルフラットシートのみだ。
コンパクトミニバンのシエンタでは、初代モデルには1/2列目、2/3列目を連結させる機能があったが、現行型には採用されていない。
また、初代と2代目デミオ、S-MX、初代ラウム、初代ラクティスなどのコンパクトカーも、かつては前後席を連結させるフルフラットシートを採用したが、今は廃止されている。
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