■魅力でライバルたちを動揺させられるか
今回の改良ではクロスターやRSの販売増に力点が置かれている。これによって強力なライバル車を追撃、トップシェア奪還を目指す構えである。最近の新型車は使い勝手の向上、走りのポテンシャルアップ、安全対策強化などでのラインアップの強化が中心となっている。
今年2月の登録実績でみるとヤリス1万417台、ノート9788台、アクア6317台、フィット5359台であり、フィットが苦戦しているように思える。しかしながら詳しく分析すると、そうでもない状況も伺える。
同クラストップセラーのヤリスは半分以上を占めるヤリスクロスが2月実績で5814台であり、ハッチバック車のヤリスは4603台に過ぎないので、ハッチバック車だけだと、フィットの方が売れ行きは良いということになる。ノートは約半分がプレミアムモデルのノートオーラであるから、これを分けて比べるとやはりフィットに分があるといえなくもない。
アクアとはわずか958台の僅差であるから、今回の改良がうまく行けば抜き返せる位置にあるといえるだろう。
フィットのマイナーチェンジはシリーズ全体では見栄えを良くし、新鮮さを取り戻し、個々のラインアップではSUVテイストのクロスターをより遊び感覚を強めた仕立てを盛り込み、RSで走りのポテンシャルアップを図るというのが狙いになっているといえるだろう。クロスターはヤリスクロスと対抗し、RSはGRヤリス、ノートオーラニスモなどのライバル車となる。
現行フィットはまだ通常ペースで販売をしており、4月上旬時点での納期は3ヵ月程度となっている。
首都圏にあるホンダカーズ店で売れ筋のホーム(車両本体価格215万500円)に有料色のプラチナホワイトパール、ライセンスFセット、リモコンエンスタ、RCエンスタATT、フロアマット、ETC2.0、マッドガード、オートリトラミラー、ナビOPアンテナ、リアカメラdeアンシンプラス3、ナビ、ドアバイザー、ドラレコ前後、ボディコーティングなど60万円強のオプション&付属品をつけてひいてもらうと法定、法定外費用を含めて250万円弱が提示された。
これを50万円の頭金で60回均等払いの残価設定クレジット(実質金利3.5%)で組むと初回が3万7515円、後の58回均等払い3万6100円と出た。初回交渉での値引き提示額は下取り車なしで20万円だという。通常は15万円程度を限度としているが、マイナーチェンジが近いのと、キャンペーン期間なので、多少の上乗せが可能な状況にある。
■証言1:首都圏メーカー資本系営業担当者
「フィットRSが今夏に追加され、シリーズ全体ではマイナーチェンジを受けるというのは聞いているが、これ以上の具体的な変更内容はまだ明らかになっていない。対抗するヤリス、ノート、アクアに対してはライバル車の多くがフィットよりも新しいので、そのぶん新型車効果や安全装備が遅れているので、苦戦を強いられている部分がある。
ただフィットは室内の広さや使い勝手、クオリティでライバル他車よりも優れているので、マイナーチェンジすれば巻き返しは可能と予想している」。
■証言2:競合メーカー営業担当者
「フィットはマイナーチェンジやRSの追加で、巻き返しを図ろうとしているようだが、ヤリス、アクアとも追い付かれることはないと予想している。それよりもこちらはトヨタ系列店扱いだから、競争が激しいので生き残りが厳しい状況にある」。
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