まん延防止等重点措置解除でどうなる!? 現役ドライバーが語る!! コロナ禍でタクシー業界が直面している危機

■コロナ禍で変わるピークタイム 苦しくても誰かに必要とされる仕事であることを実感

 お客さんからも「最近どう? やっぱり厳しい?」「お互い大変だけど頑張っていこう」などと励ましの言葉をいただけることも増えた。そういった会話のなかで、サラリーマンの方から興味深い話が聞かれた。それは最近呑み方が変わってきたという話。

 コロナ前は遅くまで営業している飲食店が多かったので気にするのは終電だったが、最近では緊急事態宣言やらまん防で閉店時間が早まっているので、仕事終わりにすぐご飯に行って軽く呑んで帰ることが増えたという。最初はつまらないんじゃないかと思っていたが意外とこれはこれで十分楽しいし、ダラダラせずにサクッと帰れるので財布にも体にも優しそうだ。

 コロナ前のお客さんのピークは終電前後だったのだが、確かに言われてみれば最近20時〜21時がピークになってきているように思う。ということは仕事が終わったら六本木や西麻布に集合というのではなく、職場の近くでいい店を見つけるという流れになると予想できる。

 事実、上野や浅草で営業しているドライバーの売り上げが上がっていると聞いた。お客さんがいないから人が多い都心部に空車タクシーが集まる。だが、お客さんの数が多くてもそれ以上に競争率が高く逆に営業的には厳しくなってしまう。こういった人の流れをいち早く分析してコロナ禍以前よりも売り上げを増やしているドライバーも実際に身近にいる。

 先日、無線配車でコロナ前には毎朝のようにタクシーを呼んでくれていたお客さんを久しぶりに乗せることができた。数年前に脳梗塞で倒れて以来、後遺症で足が悪くなってしまった方で世田谷から職場の渋谷まで約4500円という上得意様だ。聞かなくてもこのお客さんが通勤で使うルートは完全に把握している。

 乗車を手伝いながら、

 「お久しぶりです。渋谷でよろしかったですか?」

 「ああ、久しぶりだねぇ。いつものルートでよろしくお願いします。最近仕事はすっかりリモートになっちゃってね」

 この言葉を聞いた時、ただ待っていてももう世の中は元には戻らないのだと実感するとともに、それでもタクシーという仕事は必ず誰かから必要とされているということを再認識することができた。

タクシーという仕事は必ず誰かから必要とされていると感じられることは、仕事を続ける意欲を与えてくれる(LIGHTFIELD STUDIOS@Adobe stock)
タクシーという仕事は必ず誰かから必要とされていると感じられることは、仕事を続ける意欲を与えてくれる(LIGHTFIELD STUDIOS@Adobe stock)

 2020年、東京オリンピックで外国人旅行客だらけ、地方からも観戦ツアーで街には人があふれ目が回るほど忙しく、毎日成田だ羽田だとタクシーで高速を何度も往復するんだろうなって胸を躍らせていた未来とは程遠く、2022年の今もまだ悲惨な現状に戦い続けている日々だけど、少しでも僕らを必要としてくれる人がいる以上この仕事はまだまだ捨てたものではない。

 長いトンネルの出口はもうすぐだと信じたい。

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