270万円EV 「元PLUS」とは? ANAが「空飛ぶタクシー」へ?? クルマ界近未来ニュース3選

■トップゲーマーに圧勝! レース用AIの破壊力

 1997年にチェス。2013年に将棋。2016年に囲碁。これは、それぞれの分野でトッププロがAI(人工知能)に初めて敗れた年なのだが、その歴史に「2021年にレースゲーム」という項目が加わりそうだ。

 レースゲーム「グランツーリスモ」を手掛けるポリフォニー・デジタルが、ソニーAIなどと共同で発表したレース向け人工知能「グランツーリスモ・ソフィー(以下ソフィー)」。このAIが昨年、グランツーリスモの世界チャンピオンたちを相手にレースを行い、全戦全勝という快挙を成し遂げたのだ。

 その時の映像を見ると鳥肌が立つ。加減速からラインどりまで、すべてが人知を超えている。レースのマナーまで身に着けていて、追い抜きの際には対戦相手の走行ラインに考慮するといった器のデカさを見せる点もすごい。

 この神々しいレーシングAIの成り立ちなのだが、深層機械学習の一分野である強化学習という手法から生まれた。

 強化学習とはいわば「報酬がいちばん多くなるような行動を自分で発見しろ」という命令なので、今回の場合は「最も速いコースの走り方を見つけろ」ということになる。

 とはいえその試行錯誤には膨大な時間がかかるわけで、それを支えたのが多くのPS(プレイステーション)4による分散処理。世界各地にある1000台ものPS4にソフィーの分身を作り、それぞれが異なる走り方を試みることで、効率的な学習が可能になったのだそうだ。

 ソフィーが今後に及ぼす影響だが、ソニーが開発を進めるEVに、ドライバーを助けるエージェントとして実装される可能性は高いだろう。

 しかしそれよりも衝撃的なのは、スポーツドライビング自体を塗り替えてしまいそうなことだ。いまや多くの棋士がAIから囲碁、将棋を学んでいるように、近い将来トップドライバーがソフィーからドライビングを学ぶことはあり得る。未来のフェルスタッペンやハミルトンは、AIが生み出すのかもしれない。

■そのほかの近未来系ニュースを20秒でチェック!

●道路や店舗内などをチョロチョロと走る小型配送ロボット。日本でもすでに公道での実証実験が行われているが、正式な商用サービス開始ではお隣韓国と競争になってきた。

 日本も韓国も今年中に道路交通法を改正して小型配送ロボットの公道走行を認める方向だが、韓国では間髪を容れずサービスを開始しようと、フードデリバリーやロボット開発企業が準備を進めている。

 日本でもホンダや楽天、ZMPがチャンスを狙っているだけに、どっちが先になるかは微妙なところ。物流の変革を早く見てみたい!

●三菱ケミカルが二酸化炭素を実質的に排出しない自動車用樹脂を開発した。亜麻という植物の繊維をプラスティックに混ぜ、インパネ材料などに使うという。

 亜麻は生育過程で大量のCO2を吸収するため、製造時の排出量が相殺されてカーボンニュートラルとなる。自動車生産における脱炭素化に大きく貢献しそうだ。

●地政学リスクから、台湾にある世界最大の半導体受託生産企業TSMCの製造拠点を日米欧にも作ろうという動きが進んでいる。日本ではソニーと協力して間もなく熊本で工場建設が始まるが、この工場運営にデンソーも加わることが決まった。

 半導体(なかでもCPUなどのロジック系)はオーダーメイドが多く、ソニー主導の工場では自動車向け半導体の供給は限られる。デンソーの参加はその状況を緩和するだけに自動車業界にとってはいいニュース。筆頭株主のトヨタも喜んでいるはず。

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