コロナ禍の影響もあり、公共交通機関を使わず、他の人との接触が限られる車中泊を利用する人が増えている。その車中泊のツールとして、制作コストや維持費の安い軽キャンパーが大きな注目を集めている。
2022年3月に出た国土交通省の通達により、なんと軽キャンパー作りやすくなったという。これはどういうことなのか、通達の内容をご紹介しよう!
文/藤田竜太、写真/ベストカー編集部
■キャンピングカーの構造要件が大幅改訂
リーズナブルで維持管理もしやすいことで人気の軽自動車のキャンピングカー。ハイトワゴン、軽バン、軽トラなどをベースに、さまざまなビルダーが工夫を凝らしているが、そのキャンピングカーの構造要件が、2022年4月1日から大幅に改訂されることになった。
国土交通省は、2022年3月1日に「自動車の用途等の区分について」(国自整第278号)という通達を出しており、この新しいルールでは、軽自動車のキャンピングカーがかなり作りやすくなる規則になっている。
具体的には、就寝定員のルールと室内高の大幅な緩和が目玉になる。上掲の通達=「用途区分通達4-1-3」の「構造要件」には、次のように書かれている。
「(車体の形状:キャンピング車)車室内に居住してキャンプをすることを目的とした自動車であって、次の各号に掲げる構造上の要件を満足しているものをいう。
●次の各号に掲げる要件を満足する就寝設備を車室内に有すること。
(1)就寝設備の数
乗車定員の3分の1以上(端数は切り捨てることとし、乗車定員2人以下の自動車にあっては1人以上)の大人用就寝設備を有すること。この場合において、大人用就寝設備を少なくとも1人分以上有している場合は、子供用就寝設備2人分をもって大人用就寝設備1人分と見なすことができる」
ここで一番注目したいのは、「乗車定員の3分の1以上(端数は切り捨てることとし、乗車定員2人以下の自動車にあっては1人以上)の大人用就寝設備を有すること」という部分。
これまでの規則=2022年3月31日までの就寝定員は、「乗車定員の3分の1以上(端数は切り上げ)を就寝定員とすること。乗車定員3名以下の場合は「2名」の大人用就寝設備を有すること」となっていた。
新旧どちらの要件も、就寝定員が乗車定員の3分の1以上である点は変わらないが、小数点以下の扱いが「切り上げ」から「切り捨て」に変わったのが大きなポイント。
4人乗りの軽自動車をベースにキャンピングカーを作るとすると、就寝定員は4÷3=1.3333……なので、新ルールでは就寝定員は1名分でOKとなるわけだ。
旧来の要件では、「端数切り上げ」だったので、4人乗りベースのキャンピングカーの就寝定員は2名。
キャンピングカーの就寝設備は「就寝設備は、乗車装置の座席と兼用でないこと(※)」という決まりがあるので、座席をフルフラットにし、マットなどを敷いただけでは、就寝設備としてはNG。一応専用装備でないと認められないので、それが一人用で済むか二人用が必要なのかは大きな違いだ。
※就寝設備は、乗車装置の座席と兼用でないこと。
ただし、就寝設備及び乗車装置の座席が次の各号のすべての要件を満足する場合は、就寝設備と乗車装置の座席を兼用とすることができる。
ア)乗車装置の座席の座面及び背あて部が就寝設備になることを前提に製作されたものであること。
イ)乗車装置の座席の座面及び背あて部を就寝設備として使用する状態にした場合に、就寝設備の上面全体が連続した平面を作るものであること。
また、今度の新しい要件では、「乗車定員2人以下の自動車にあっては1人以上の大人用就寝設備を有すること」と明記されているので、軽トラなどもともと二人乗りのクルマがベースならば、就寝設備は1名分でも構造要件をクリアすることが可能になったわけだ。
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