【番外コラム】2Lターボ車は理論上、市販車レベルでどこまで絞り出せるのか?
(TEXT/ベストカー編集部)
2Lターボはどこまでパワー&トルクを高められるのだろう?
EJ20ターボをS208で史上最強となる329ps/44.0kgmにまで高めた STIの森宏志取締役開発本部長は、ベストカーの取材で次のようにコメントしている。
「STIではレースをしているので、その技術でスーパーGTマシン並み、もしくはGRC(グローバル・ラリー・クロス)並みにはできます」
とはいえ、量産モデルとしてS208をディーラーで販売する以上、性能と耐久性の保証についてどう折り合いをつけていくのか、そのパワーとトルクのスペックバランスをいろいろ考えながら今回の数値に落ち着いたという。
スーパーGT 500クラスなら現在は550ps以上、さらに今シーズンのGRC用WRX STIは588ps/91.8kgmを発揮している。森取締役開発本部長の言葉どおりに受け取れば、EJ20は充分そのポテンシャルを持つ。
1989年、初代レガシィのデビュー時に220ps/27.5kgm(RS)だったEJ20も、現在のWRX STIでは308ps/43.0kgmにまで進化しているが、実はスペック自体は2007年に登場した先代型からまったく変わっていない。
しかし、やはりランエボとの競争がなくなった今、EJ20の進化が止まってしまったのは痛いところ。これをチューナーはどう見ているのか。
チューニングショップ、「BOZZ SPEED」(埼玉県三郷市)代表の久田泰之氏は次のように語る。
「常識的な範囲ではEJ20はチューンしても400psが限界。水平対向はターボには厳しいレイアウトだし、ブロックがアルミだし、デカいタービンが回らないんだよね。トルクはタービンのサイズで自ずと決まってくるからね。ただし、耐久性を考えなければ500psまではイケるけど、お薦めはしないかな」
そう述べたうえで、「2Lターボで国産史上最強なのは、いまだにランエボⅨ MRまでが積んでいた4G63。700psまで出してもぜんぜん平気だった。鋳鉄ブロックは強いし、ゆとりがあるからね。
ボクからすると“奇跡のストリートエンジン”だったと思う。それに比べて後継エボⅩのアルミブロックを採用した4B11は600psまでかな。ほかのアルミブロックエンジンよりは強度的に余裕があるんだけど、4G63には到底及ばない」とした。
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