■現行の最強2Lターボエンジンはどれだ?
(TEXT/国沢光宏)
次に、自動車ジャーナリストの国沢光宏氏に、現行の最強2Lターボエンジンについて語ってもらう。
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現時点での世界ナンバーワンといえば、いうまでもなくベンツA45AMGに搭載されている381ps/48.4kgmである。
鍛造ピストンなど多くの部分に競技車両用の素材を使うなど、さすがF1で圧倒的なパフォーマンスを示すメーカーの意地を感じます。
同じF1に出ているホンダ2Lが320ps/40.8kgmに留まっているあたり、F1の成績とイメージはダブってしまう。同じ排気量で15%負けているのだから圧倒的。
ナンバー2となるボルボS60ポールスターに搭載されるDRIVE-eは、367ps/47.9kgmというスペック。
このエンジンをベースにしたWTCC用のGRE(グローバルレースエンジン)も、ホンダのWTCC用エンジンより優れているといわれており、参戦から1年でチャンピオン争いに加わるほどの勢い。
ちなみにDRIVE-eのポテンシャルたるや高く、400ps仕様まで開発しているそうな。400psに耐えるシリンダーブロックの強度や冷却性能を持っているということ。
市販車用に搭載されるエンジンは競技用と違う。低い回転域から使えなければダメだし、マイナス20度で始動したり、長い時間アイドリングしたりすることも必要。
それでいて厳しい燃費規制をクリアしなければならない。DRIVE-eの凄さは、同じ4気筒をPHVのパワーユニットや、安価なベーシックグレードにも使っている点。A45AMGのエンジンも量産ブロックを使う。コストダウンのため手抜きし、最高出力を稼げなくなっている日本勢のエンジンと基本設計からして異なる。
この2基に大きく引き離された3位がスバルWRX STI用のEJ20だ。S208に搭載されるユニットは329ps/44.0kgmというスペック。基本設計の古いポート噴射のエンジンとして考えればすばらしい! WRCに参戦している時代に磨いたエンジンがまだ光っている。
その気になれば400ps/51.0kgmなど余裕のブロックなので(グループN用ではコンピュータを変えるだけで51.0kgm出た)、もう少し余裕ありそうだが、一番古いエンジンが日本一なのは微妙。
4番手選びが超難しい! スペックからすれば320ps/40.8kgmのシビックタイプRなのだけれど、ゴルフRの310ps/40.8kgmの広いトルクバンドや、レスポンスは強烈だったりして。
考えてみたらVWって昨年まで WR(世界ラリー選手権)で圧倒的に強いエンジン作っていた。
ツーリングカーレース用の2Lもすばらしいし、なにより400psの400Rというエンジンまで持つ。ポテンシャルの高さを考えたらEJ20を超えていると思う。ということで4位に。
スバルWRX S4用と、ポルシェの2Lターボはいまだホンキでパワーを出そうと考えていない。スバルの場合、2012年に先代レガシィのマイチェンで最初に出したFA20からまったく進化していない。
そもそも40.8kgmというトルク制限のあるCVTと組み合わせているため、出すこともできない状況。
同じくポルシェもスポーツグレード用に2.5Lターボを持っているため2Lについちゃ実用エンジンだと考えているようだ。どちらのユニットも直噴だし、10%程度のパワーアップは簡単にできるだろう。眠れる獅子です。
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